NHKシブ5時 広がる中高生の「SNSカウンセリング」
当団体は、その特集の撮影に協力しました。ただし、公共放送のため、「NPO東京メンタルヘルス・スクエア」という名称は一切出ていません。番組では、「昨年3月SNSの相談を始めた東京のNPOです」と紹介されました。
特集はおよそ15分間でしたが、前半の部分で、当団体の国広多美カウンセラー/スーパーバイザーが、当団体のSNS相談室内にてインタビューにこたえました。
この特集には若くて将来有望と思われる20代半ばのNHKディレクターの方が、熱心に制作に取り組んでおられました。
「まだあまり知られていないSNS相談を多くの方に知ってもらいたい」そんな思いで、そのディレクターさんは関わっておられました。
私自身は、昨夏はNHKの「首都圏ネットワーク」という番組にて「SNS相談」の取材にこたえさせていただきましたが、今回はその若くて熱心なディレクターさんと共に、裏方に徹して、カウンセラーやスーパーバイザーの調整など行い、番組づくりに協力させていただきました。
裏話を少しだけお伝えしますと、特集の中では5ー6分の放映でしたが、実際の撮影は、打ち合わせから始まり、トータルでいうと、20ー30時間を費やしました。今回放映されたのはスーパーバイザーひとりでしたが、実際にはほかに2名のカウンセラーとスーパーバイザーがインタビューに答えました。
こういったTVものは往々にしてそうですが、取材された中で実際に放映されたのはごく一部です。裏を返すと、それだけのエッセンスが放映された中には散りばめられていたといってもいいでしょう。
そのエッセンスとも言ってもいい放映内容から、以下、重要と思われた部分をいくつか拾ってみました。
1.「死にたいとかネガティブなことは、友達に嫌われると思って言えない」(虐待を受けた女子中高生)
とてもリアルな言葉でした。被虐待児の心理の一端が凝縮された言葉だと感じます。
そして、こういったとてもセンシティブな内容をも含め、多くの子どもたちにとって最も相談しやすい方法の一つがSNS相談といってもよいでしょう。
2.「顔の表情も声の調子もわからない心の内を探る」
ナレーターの説明からですが、SNS相談のポイントをうまく捉えた言葉でした。このポイントは何度か出てきて、「名前もわからない、顔も声もわからない、文字だけ」とも言っていました。
私自身もNHKのディレクターさんとのやり取りの中で、熱心な質問を何度も受けましたが、そんな中でもこのポイントが話題となりました。
3.「自分の悩みを人に話すことが苦手な生徒が増えている」(国広多美カウンセラー/スーパーバイザー)
当団体のカウンセラーであり、スーパーバイザーの国広多美がインタビューにこたえて話した言葉です。スクールカウンセラーを18年間やってきてのまさに実感です。私自身も同じことを日々感じています。
4.「短い文章から相手の感情や精神状態を探る」、そして「文字数や送信する間隔を相手に合わせ、少しずつ距離を縮めていくのです」
ナレーターの説明からですが、こちらもSNS相談のポイントをうまく捉えた言葉でした。相手と息づかいを合わせていく、そうして信頼関係を育んでいき、大事な大事な心の声を共有していきます。
5.「SNS世代が増える中、新たなカウンセリングをめぐる模索が続いています」
同じくナレーターの説明からですが、まさに今がその通りです。
SNS相談が子どもたち向けにはじめて行われたのは2017年の夏、長野県からでした。それからまだ2年しか経っていません。私自身はその前の2016年秋から、とある通信制高校のスクールカウンセラーとして、チャットで相談を始めました。それとても3年が経過したに過ぎません。
人間で2〜3歳といえば、よちよち歩きが上手になって、やっと自分で自分の行きたいところに歩き出していくことができる位の頃でしょうか。
このため、いまのSNS相談をもってして「これこそがSNS相談だ!」と言える状態まで達しているとはまだ思えません。おそらくこの先もSNS相談に関する試行錯誤は続いていくと思われます。そして、5年後10年後には今の面影を残しつつも、大きく成長したSNS相談の姿が見られるのではないかと考えています。
そのために、SNS相談のリードオフマンとして、当団体が果たしていくべき役割と責任は非常に大きなものがあると感じ、それだけでも身が引き締まる思いです。
2019年7月26日
特定非営利活動法人 東京メンタルヘルス・スクエア
カウンセリングセンター長 新行内
本ブログに共感していただけたら以下の「いいね」をクリックしてもらえると嬉しいです。
Facebookから私たちの最新の活動をご案内します。