SNS相談 (3) ユーモアの力
東京メンタルヘルス・スクエアのSNS相談
(3)ユーモアの力
SNS相談利用者の皆様に、SNS相談の向こう側にいる私たちのことを少しでも知ってもらいたくて、NPO法人東京メンタルヘルス・スクエア(以下TMS)の創始者であり理事長である武藤清栄所長に「東京メンタルヘルス・スクエアのSNS相談」というテーマでお話をお聞きしています。
第3回は「ユーモアの力」です。
――所長にとってのユーモアというのは、どういうものですか?
あったかいイメージ。それから呼気と関係するもの。
息を吸いながら笑えないでしょう?笑いは全て吐く息なんです。
出すこと。毒を出すこと、デトックスに近い。
笑い声を出させる。出す事は、快適さが伴うね。
あのね、どんな場であろうと、人を一番強力に回復させる力は、ユーモアです。
サポートでも、素晴らしいカウンセリングの理論でも、金でもなく、ユーモアなんです。
――ユーモアも出てこないくらい弱っている人も、いると思います。
自分ではそんな風に考えられなくても、周りの人が言っているユーモアに笑わせられるだけでも、回復する力になりますか?
もちろん。
周りから何か言われて、クスッとわらったり、大笑いしたり。
だからSNS相談ではユーモアを目指す!だから、カウンセラーの先生方、あまり固いこと言わないでくれよって思うことあります。
――思うだけじゃなくて、所長からしっかり言ってください(笑)
職場で笑い声やユーモアがあるのはメンタルヘルスがいい証拠だからね。
先ずは自分の職場からユーモアを生み出さないと。うん、そうだね。
――世間には、ユーモアも雑談もない職場は多いと思います。
ユーモアがないところにユーモアを生み出すにはどうしたらいいでしょう?
それは難しいね。一つは、本音。本音を喋ると、ユーモアになる。あとは失敗談。
例えば、私は尻フェチなんですよ。
私が小学4年生の時、学校の先生に恋をしたんです。
彼女は3年生の担任だったから、用もないのに3年生の教室の前をうろうろしたりして。
ある日ラジオ第二体操をして、ばっと前を見たら先生のお尻があった。
バーン!ってLargeなお尻。Largeなんですよ、Bigじゃなくて。
それからです、フェチになったのは。
これ本音なんです。
これ話すとみんな笑うわけ。そういうのですね、ユーモアは。
実際、今でも私はそういうのを引きずっているんですよ。だから大きいお尻を見るとなんか反応する自分がいる。
ここまで話して「みなさんもないですか?そういうエピソード」と問いかける。
そんな風に、自分の話の中に相手を迎え入れるというか、じゃれついていく。
――それは、自分の中にユーモアになるような本音の引き出しが必要だと思います(笑)
私にはそういう引き出しないなぁ、言えないなって思いました
そう?ユーモア言えない人もユーモアを言ってますよ。
しゃべれないことを上手に表現する方法を探してみるといい。沈黙は金、饒舌は銀。
だから私なんかより、あなたのほうがよほどすごい。
――なるほど、そうやって私のことを会話に迎え入れてくださるわけですね(笑)
もう一つは、歌舞伎の舞台にしてしまうことです。
――え、歌舞伎ってユーモアなんですか?
歌舞伎役者は、本気で、なり切って、見栄を切る。
大衆はそれを見て笑ったり、掛け声をかけたりして呼気を出す。
これもデトックスですね。あれから私はメンタルヘルスを学びました。
歌舞伎役者は「あるく〜」なんて言いながら大袈裟な身振り手振りで歩くでしょ。
道端でやってたら大変だけど、舞台でやると芸になる。現実から少し離れる。
だから、深刻なときにこそ舞台が必要。舞台に乗ると芸になるから。
だからケンカやいじめも、芸になればいい。
そして今日も舞台稽古ありがとうってね、なかなかいい芸ができましたと言えると、いいんだ。
でも、芸にするには誰か演出役が必要だよね。
――そうですよね、彼らは舞台に乗っているつもりはないから。
乗っけちゃわないといけない。どう乗っけるかは、技だよね。
(この項、続きます)
広報スタッフA
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