SNS相談 (5) SNS相談の醍醐味(1)リリースする快感
東京メンタルヘルス・スクエアのSNS相談
(5)SNS相談の醍醐味(1)リリースする快感
SNS相談利用者の皆様に、SNS相談の向こう側にいる私たちのことを少しでも知ってもらいたくて、NPO法人東京メンタルヘルス・スクエア(以下TMS)の創始者であり理事長である武藤清栄所長に「東京メンタルヘルス・スクエアのSNS相談」というテーマでお話をお聞きしています。
第5回はSNS相談の醍醐味「リリースする快感」についてです。
―――SNS相談の醍醐味は、何だと思いますか?
そうだね、やっぱりこれはと思うのは、隠し事を表現してくれたとき。
――隠し事、ですか。具体的に言うと?
金を隠しているとか、家族に内緒の賭け事をしているとか、今の夫は31番目に好きだった人とかね
――31番目に好きな人……ずいぶん繰り上がって結婚されたのですね(笑)隠し事を表現することが、どうして醍醐味になるのでしょう?
そういう話が出ると、カウンセラー側もウキウキしてきて、もう少し聞きたいなとか読みたいと感じる。漫画の次のページをめくるような感じ。
――たしかに、SNS相談していると次の展開が楽しみになること、経験あります。
漫画は、ページの末尾に期待させるようなものをギューッと詰め込んで、次のページで展開するという演出をやっていますよね。
それと同じように次のメッセージがどんなメッセージかということをカウンセラーのみなさんは期待と不安を持って見ていると思います。
そこにSNSの特性、特徴があります。
次の言葉を待つインターバル。
クライエントも書くか書かないか迷って、送信前に書いたり消したりして、ついには送信ボタンを押すわけです。
――言葉による会話だったら、ポロっと言ってしまうこともあるし一度言ったら取り消せないけど、SNSでやり取りしている中で、満を持して発言した言葉を「ここで来たか!」という気持ちで受け取るインターバルですね
そう、ここで来たか、ここで本音が出てきたか、という衝撃。
クライエントが自分のことを、性のこと、愛のことをしゃべりだす瞬間がある。これはSNSの特徴でしょう
――それは対面の相談、電話相談ではあまり出にくいのでしょうか?
SNSは、隠せる媒体です。電話と比べても、声を使っていないぶんだけ匿名性が高いですよね。
一番匿名性がないのは面談。伝統的なカウンセラーたちはこれは正式なカウンセリングだという。
表情、態度、距離、声の質、そういう非言語の情報から見立てるのが正式なカウンセリングだと言うから。
SNSは、ガラガラ声でも隠して話すことができる。
自分にコンプレックスが強く、それを気にして話せない人にとって、隠せる媒体というのは有利に働くことがあります。
その点に関しては、対面カウンセリングはSNSには勝てないと思う。
――自分の隠したいこと、隠さなきゃいけないことに劣等感を持たずに相談ができる。
そうです。安心して話すことができるんです。そして何より面白いのは、隠して隠していたのをばらす時だよね。そこに快感があるわけです。
――せっかく隠してたのに、ばらしてしまうのですか?
そう。隠していたことを、自らお披露目するところに、快感がある。暴かれることなく、ね。
だからクライエントは隠したいことがいっぱいあったほうがいいわけよ。リリース感が強まるでしょ。たくさん味わえる。
そこはSNSの優れたところでしょう。
(この項、続きます)
2020年1月20日
広報スタッフA
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