夏休み明けの子どもたちの自殺と、いじめの二重の苦しみ
夏休み明けの子どもたちの自殺と、いじめの二重の苦しみ
~「言ってねと言ったから言ったのに、どうしてそれなのにわかってくれないの?」~
SNS相談を受けている中であらためて気づかされることがあります。
そのひとつを今回はお伝えできればと思います。
夏休み明け、とりわけ9月1日に子どもたちの自殺率が高いという悲しいニュースは、ここ数年多くのメディアで取り上げられています。
そしてその自殺に関わることが多いのが、いじめです。
いじめ被害の子たちは二重に傷ついている
私たちが子どもたちからのSNS相談を受けていて、あらためて気づかされたことは、いじめ被害を訴える子どもたちは二重に傷ついている、ということでした。
二重とは、いじめ被害そのものでの傷つきが一つであり、もうひとつは、いじめ被害を訴えてもそのことを親身にわかってもらえないことでの傷つきです。
もう少し説明を加えます。
「いじめにあったら言ってね」と優しく言う大人たち
いじめ被害を耳にしたまわりの人たちは、どのようにそのことを思うのでしょうか?
たとえば、次のように思う人は少なくないかと思います。
「どうしていじめを受けたのを言ってくれなかったの? 言ってくれればなんとかできたのに」あるいは、「言ってくれなきゃわからないよ、必ず言ってね」と。
このため、学校で子どもたちを守る総本山である文科省は「SOSの出し方教育」をここ数年、学校教育の重点目標として熱心に推進しています。
「困ったことがあったら、助けを求めよう」「誰でもいいから、とにかく誰かに相談しよう」
と、SOSの出し方の教育を進めています。
ただ、SNS相談を受けていてあらためて気づいたのは、いじめ被害を受けた子どもたちは、実際には周りに何らかの形でSOSを発信していたということでした。
SNS相談で聞かれたいじめ被害の子たちの声
相談の中から典型的な子どもたちの訴えを、以下に抜粋してみます。
「母に一度相談したが、あまりきちんと聞いてもらえなかった」
「先生たちや周りの人、誰もわかってくれない。周りの人みんな信用できなくて、生きていていいのかもわからなくなってきた」
「誰かに助けを求めても誰も助けてくれない」
「いじめを苦に自殺未遂したが、母からそのとき強く突き放された、まったくわかってもらえなかった。そのときの母の言葉が頭から離れない」
「小学校のときからいじめ。先生に言ったらみんなにバラされて余計にひどくなった。もう誰にも言いたくない」「それから学校に行こうとすると、腹痛や嘔吐」
大人たちは「何かあったら言ってね、なんでも助けるから」などと言います。
ただ、苦しんでる子どもたちの多くは、周りに言ったのに「わかってもらえなかった」と傷ついていってしまっています。
【言ってねと言ったから言ったのに、どうしてそれなのにわかってくれないの?】
こんな風に思った子どもたちの心は? と想像すると、どんなに絶望してしまったことだろうかと思えてきます。
孤立させないことと、人間不信にならないようにすることと
「言ったのにわかってもらえなかった」ことで、子どもたちは二重に傷ついていくのです。
そして、わかってくれない周りの人たちのことを信じられなくなり、人間不信になります。
「こんな思いをするくらいなら、もう誰にも言わない。言ってもわかってくれないし、逆にそんなのいじめじゃないなんて言われたら、もう誰も信じられない」となるのも無理もないことでしょう。
こうして被害を訴えた子どもは、大事な人間関係の中から抜け落ちて、孤立していき、口を閉ざしていってしまうことがあるのです。
「SOSの出し方教育」はとても大事です。ただ、それだけでは不十分であると言わざるをえません。
子どもたちにSOSの出し方を教育することと合わせて、「SOSの受け止め方教育」を周りの大人たちに進めていくことが、さらに大事であるだろうと考えています。
子どもたちを孤立させないために、子どもたちが人間不信にならないように、そして子どもたちのいのちを守るためにも。
*ここでは、相談に寄せられた言葉から書きましたが、実際にはまわりの大人たちにいじめ被害を伝え、そしてしっかりと受け止め、わかってもらい、解決したということも多くあります。ということも書き添えておきます。
カウンセリングセンター長 新行内
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