2018年 新年に向ける想い
新年あけましておめでとうございます。
東京メンタルヘルス・スクエア専務理事の武藤収(おさむ)です。
2018年を迎えるにあたり、改めて東京メンタルヘルス・スクエアの活動に傾ける想いをお伝えしたいと思い、ペンを取りました。
「話をちゃんと聴いてくれる人が傍にいる社会をつくる。」
これが、スクエアの設立当時から大事にしてきた基本理念です。
日々のニュースでは自殺、いじめ、不登校、ひきこもり、犯罪、他殺など心を痛める報道が飛び込んできます。
こころのバランスをくずしてしまった方、いじめの被害者、加害者となってしまった方々が、その出来事が起きる前に、①周りが察して、②ちゃんと話を聴いてくれて、③支援が届く。このようなステップがもしあったならとニュースを見るたびに思います。
このステップは、メンタルヘルス支援の大原則で、家庭や学校、企業、地域のどこの領域でも通用する原則です。
周りにいる誰かが察して、声をかける。
そして、話してくれたら助言や否定したりせずに、ちゃんと受け止めながら共感して話を聴いてあげる。
もしくは、ちゃんと聴いてくれる人や聴いてくれる場所の情報を伝える。
さらに、話をちゃんと聴いた後で、相手の求めに応じて必要な支援を届ける。
「ちゃんと話を聴く」ということが中核であり、その前後で察したり支援を届けるという構図です。
キーボードの音しか響かないオフィスや通信アプリのコミュニケーションが多くなってきた日本では察することも難しくなってきていることでしょう。
また、相談することの意義や相談する方法を子どものうちから教育を受けていないので、最初は抵抗も大きいことでしょう。
支援を届けるといっても、受験戦争や成果主義のライバルが大勢いる競争の中では、人に支援を届けるどころではないかもしれません。
このような時代だからこそ、東京メンタルヘルス・スクエアでは「ちゃんと話を聴く」という核の部分を基本理念とし、これからもいつでも誰かが、耳を傾けてちゃんと話を聴く場所をつくっておきたいと思います。
察して、聴いて、支援する。
東京メンタルヘルス・スクエアではこころのほっとライン(無料電話相談)やお話パートナー(低料金対面カウンセリング活動)を柱に努力を続けます。
最後に、人生において残念なこととは、大きなストレスに見舞われることではなく、そのストレスを一人で抱えて一人で苦しむことです。
怒り、哀しみ、苦しみ、辛さを一緒に聴いてくれたカウンセラーと分かち合い、孤立感を分散させつつ支えることができるならば、こんなに嬉しいことはありません。
2018年正月
専務理事 武藤収