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SNS相談で出来ること、出来ないこと - 悩み相談と心の対話の場所 | NPO法人東京メンタルヘルス・スクエア

東京メンタルヘルス・スクエアblog

SNS相談で出来ること、出来ないこと

カテゴリ: スクエアのSNS相談 作成日:2020年09月13日(日)



東京メンタルヘルス・スクエアのSNS相談では、豊富な相談支援経験のあるカウンセラーが指導的立場であるスーパーバイザーとして参加し、話し合いながら相談をお聴きしています。

 

スーパーバイザーの一人、マンガでやさしくわかる認知行動療法など数多くの書籍を出している玉井仁スーパーバイザー(東京メンタルヘルス・スクエア理事/東京メンタルヘルス・カウンセリングセンター長)にお話をお聴きしました。
玉井スーパーバイザーの優しさと厳しさの絶妙なバランス、そして「人」に興味を持って接するまなざし、ぜひ感じてください。
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玉井仁(たまい ひとし)スーパーバイザー


——玉井さんは普段どのような活動をされていますか?

東京メンタルヘルス・スクエアの理事、また東京メンタルヘルス株式会社のカウンセリングセンター長としてSNS相談を含めたカウンセリングを行っています。

人間ってどういうものか。どういう風に人と人とが付き合っていけるか。そういうことに興味を持ってカウンセリングをしています。
その中でも特に、衝動性のコントロールができない人たちがコントロールできるように心理療法を適用する。そういうことをやっています。

——衝動性のコントロール、というのはどういうことでしょう?

人にはアクセルとブレーキがあって、適切に踏み分けられるとうまく走られる。片方だけ踏み続けたり、両方とも踏み続けたりすると、暴走してしまう。
そうした強い感情、衝動を無くすのではなくコントロールする。そういう衝動があっても大丈夫な自分になれるか、ということをテーマにしています。

——衝動を抹消するのではなくて、共生する。

社会は適応することが求められる場ですから、我慢しないで生きるのは難しい。一方で家庭では自由にできる。社会で抑圧されればされるほど、家庭ではブレーキが効かない自分になってしまう。それでDVやモラハラが起きて「会社では温厚な人なのに」と周りから驚かれたりします。
さらに日本人は結構短気な人種でもあると思うんです。素直な部分と短気な部分を合わせて持っている。それは、他の研究者たちも指摘していることですけどね。それがうまく機能していると良いのですが、抑圧される状況になると、反動で良くない行動につながることも多い。

――その行動の二面性、SNSでもよく見ます。

そうですね。SNSにストレス解消の場を求めたり、うまくいかないときに炎上したりするのは自然な流れだと思います。
日本では同調圧力が強く、他人と合わせるのがいいことだと思う傾向があります。さらに匿名の場であるインターネットの一番気楽なことは、やったことの責任を自分で取らなくていいので気が楽という面と、自分の行動を振り返らないという悪い面があります。問題があればすぐバックレればいい、という姿勢は、一人前である自分を放棄して無責任でいられるところで、残念な面ですね。

でも、ブレーキを踏まないで暴走したらストレスフリーかというとそうでもなくて、適度にブレーキを効かせるというのはそのほうが長期的に見る楽だったりします。
感情的に言うよりも少し我慢した方が、心が安らぐこともあるんです。

――そうなんですか。アクセル踏みっぱなしの人はさぞかし気持ち良いだろうと思うのですが……

そうでもないから、私のところに衝動をコントロールしたいと思う方が来られる。そういうところが人の面白いところだと感じます。動物と同じように、安全な枠組みがあって初めて自由を楽しめるのですが、その枠組みとうまく折り合うのが難しい、という人は少なくありません。

SNS相談にも、一定の枠組みがありますよね。匿名性もその一つです。それは、通所のカウンセリングとは異なります。匿名でないと不安な人もいます。それがいいとか悪いじゃなくて、不安なんだってことを認めて迎え入れたらいいと思うのです。自分のことをさらしなさいと言う必要はない。匿名であれば話せるなら、匿名でもいい。話していくうちに、自分から心が開けていったらいいね、と心の中で声をかけています。
自発的に話してくれた少しのことに対して私たちが真剣に向き合うこと、私たちの反応を受け取ることが本人の不安を和らげたりしますから。
オンラインで気楽に相談することで、ブレーキを少し踏むことのステップに進んでもらえたらいいなと思っています。

——SNS相談に関して、これからどんなことに取り組んでいきたいですか?

私はカウンセリング実務だけでなく、事例を研究して論文にまとめるといった学術的な活動も行っています。「SNS相談を通じて人はどのくらい変化しうるのか」ということを論文として定量的に示してみたいと考えています。

カウンセラーがSNS相談を行うことはどのような効果を提供出来るのか、調査したいですね。


――人が変化する、というのがテーマですね。SNS相談で出来ることは何だと思いますか?

SNS相談で話したことは、履歴として残ります。そこが良いところかなと思います。
相談者さんは、相談時間内の文字のやりとり自体で変化していきます。さらに、相談後に繰り返し見直すことを通して相談者さんの中にしみこんでいくような関係が作られていくこともあるでしょう。

――相談後にカウンセラーとのやり取りを読み返していました、というメッセージを頂くこともあります。

そう。手紙のように交わした言葉が手元に残って、カウンセラーの言葉だけでなく自分の言葉も沁み込んでいく。そうことができるのは対面相談や電話にはない、SNS相談のメリットです。
「読み返していました」というメッセージをもらったとき、どんな思いで読み返したのか、どんなことに気が付いたか聴けたら、クライアントさんの中でどんな風にその言葉がはたらいているか見ていけるだろうなと思います。

――その一方、SNS相談で出来ないことは何だと思いますか?

一切自分のことを晒さない関係性の中で、自分が本当に心を開いて変わっていけるなという感覚を持てるかどうか。内面的な変化を深く促していくというところにはまだ課題があると思います。

もう一つは、文字の怖さを感じています。
対面でお話を聴いていると、相手の言葉だけでなく、ニュアンスを感じることがありますね。チャットではそれを感じるには、様々な機器が間に挟まりすぎている。最近の人はチャットからもニュアンスを読み取る優れたセンサーを持っているのかもしれないけどね。
文字というのは想像以上に相手に侵入します。その文字の印象にとらわれてしまうと、視野が狭くなってしまう。

――文字で画面に飛び込んでくる言葉はインパクトがありますね。良くも悪くも。

インターネットで現実より炎上が起きやすい理由は、匿名性に加えて、視野が狭くなりやすいということもあります。
それが良いとか悪いとかじゃなくて、そういうものなんです。
「そういうものだ」と分かることが大切で、相手が分かると対応を考えることができる。
文字だけを見るのではなくSNSの向こうにいる人を見る。そういう感覚とか想像力の訓練をしているのがカウンセラーです。視野を広く持って相談者のことを適切に理解し、必要なものを見極めて届ける。そういうSNS相談の時間にしたいですね。
カウンセラーのみならず、みんながそういう力を持っていたら人間関係の問題や炎上は激減するのでしょうが、皆がそのことに力を注げるわけでもないし、人間には努力してもできないことがある。人には限界があるからどうしようもない。

——限界を「そういうものだ」と認めることも、大切ですね。

できないものはしょうがないですからね。例えば私はアスリートのように速く走ることはできないけれど、カウンセラーとして自分やクライアントさんの心を見る勉強を続けてきました。人には個性があって、できること、できないことの凸凹があるから、同じことをできなくても理解し合うことはできる。適材適所ですね。

——そう言っていただけると、できていないことが色々あっても、安心して話せる感じがします。

それはよかった。私がカウンセリングで気を付けていることのひとつが、人は安全でないと変化できないということです。カウンセリングルームでもSNSでも、相談に来られる方にも安全な場所、安全な人だと感じてもらいたいですね。

——最後に、これからSNS相談を考えている人にどのようなことを伝えたいですか?

世の中には、絶対に、あなたのことをわかってくれる人がいます。
その誰かを探すツールとして、インターネットは有効だと思います。私たちのSNS相談も、わかってくれる人を探すきっかけとして話に来て欲しいなと思います。
そして味方を見つけて、自分のしたいこと、なりたい自分に進んで行けたらいいですね。

——もし、その人の「したいこと」がどう考えても無謀だったら、どう対応しますか?


無謀だっていいんですよ。
自分の中に「したいこと」があるのは、とても素敵なことです。だから私は全部肯定します。
もしそれがどうしても実現できないのなら、ご自身が「これは向いていない」と気が付けるようにお手伝いしていきたい。そして、どういう形なら「したいこと」ができそうか、見つけるお手伝いがしたいです。

——玉井さんの厳しさと優しさを聴かせて頂いた思いです。本日はありがとうございました。

2020年9月9日
広報スタッフA
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