子どもを自殺から守りたい ~SNSカウンセリング~
【子どもの自殺率】
我が国の子どもの自殺率、その重い現実は、ご存知の方も少なからずいるところでしょう。
「15ー34歳の若い世代で、死因第1位が自殺であるのは、先進国(G7)の中で日本のみ」(厚労省)
この重い現実を打開するために、私たち東京メンタルヘルス・スクエアにできることはなにか?
【自殺を防ぐためには】
自殺を防ぐために一番大切なことはなにか?
防ぐためには、なにはともあれ、子どもたちのSOSの声をキャッチしなくては、まずはじまりません。
けれども、ここで、「SOSの声をあげることは、想像以上に難しい」ことを、私たちは忘れないようにしなければなりません。
「テストで100点をとったよ!」
「運動会で2位に入ったよ」
「◯◯さんと友だちになったよ」
といったことなら、多くの方が、胸を張って言いやすいことでしょう。
しかし、
「なぜかわからないけど、男の子にいじめられてるの」
「学校に、行きたくない」
「ときどき、ボクなんて死んでしまった方がいいと思う」
といったことは、そう思った子どもが10人いたとして、その切実なる声を口にして、伝えられる子はいったい何人いるのでしょうか?
おそらく、思ったことをそのままストレートに、すぐに誰かに言える子は、かなり少ないことでしょう。
【3つの解決策】
であれば、どうしたらいいか?
ここで、考えられる解決策は3つあります。
①子どもたちがSOSの声を出せるように教育していくこと
②周りの人々が、子どもたちの声になっていないSOSサインを見つけることができるようにすること
③子どもたちがSOSの声をあげやすい相談方法を作ること
①は、文科省が「SOSの出し方教育」ということで、いま普及を始めています。
②は、これまでの自殺予防対策の柱である、ゲートキーパー研修などで広めてきています。
そして、これまで、意外にも十分ではなかったのが、③のSOSの声をあげやすい相談方法でした。
現在、スクールカウンセラーは多くの小中学校にいます。ただし、週に1ー2回しか学校にいないし、相談室に行くのはとても勇気が必要です。また、夏休みは学校もなければ、スクールカウンセラーにも相談できません。
「24時間子供SOSダイヤル」(0120ー0ー78310)はあります。ただし、いま子どもたちは電話をほとんど使いません。
では、いったい子どもたちにとって、もっとも弱音や本音を言いやすい相談方法はなんでしょうか?
【SNS相談(チャット相談)をスタート】
それは、最近、普及が始まったばかりですが、SNS相談でしょう。
SNS相談にはいくつかの方法があります。なかでも一番利便性が高いのは、LINEを使った相談です。
いま、スマホを持っている中高生は多く、スマホを持っている子どもたちはほぼLINEを使っているためです。
LINE相談の相談しやすさはというと、子どもたちが一番慣れているコミュニケーション手段ということに加え、声を出さずに相談できるという利点があります。
極端にいうと、家の中で家族とテレビを見ながらでも、スマホ片手に相談できてしまうのです。電話だと、声を出さなくてはなりませんので、そうはいきません、場所を選びます。
いつでも、どこからでも、スマホひとつあれば相談できるのです。
このため、私たち東メンタルヘルス・スクエアでは、この3月からLINEでの相談をスタートしました。
案の定、子どもたち、若年層の利用がほかの年代と比べて有意に高くあります。
東京メンタルヘルス・スクエアでは、LINEでの相談を継続していきます。さらに、カウンセラーのスキルも、これまで以上に磨き続けていきます。
そして、子どもたちが「死にたい」の声を心おきなく言える場として、私たちスクエアカウンセラーは、末長く活動を続けていきたいと考えています。
【安心して語り合える場所】
「先生、死にたいと思ったことある?」
<あるよ、あんまりないけど>
「あるの?」
<人に裏切られたとき、人間関係で辛い思いをしたとき>
「そうなんだ。なんでみんな『死にたい』って思わないんだろうね?」
<あるだろ、『死にたい』って思うことくらい、一度や二度や三度や>
こんなことが、安心して言える場があるといいですね。
言いたくても言えないこと、言ってもわかってもらえないこと、そんなことがあって、その思いを心の中に閉じ込めておくことは、とても辛いものです。
私たち、東京メンタルヘルス・スクエアは、そんな思いを自由に言える場を作ることを、大切なミッションとしています。
2018年、子どもたちが、いま一番言いやすい方法は? と考え、SNS相談(LINEによる相談)をスタートしました。
子どもたちの『死にたい』の声を聞き、『死にたい』思いを受け止め、『死にたい』を行動化しないようにしていくこと、そんな場であり続けたいと願っています。
NPO法人 東京メンタルヘルス・スクエア 常務理事
SNSカウンセリング リーダー
新行内 勝善
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SNSで、こころを繋ぐ。
辛すぎて、声にできないとき。
誰にも聞かれたくなくて、声に出せないとき。
話す気力もないくらい、こころのエネルギーがなくなっているとき。
人に会うのが億劫なとき。
そんなとき、私たちのSNSほっとラインを思い出して欲しくて、動画を作りました。
ひとりぼっちだなと思った時、どうか思い出してください。
あなたがどんな人で、どんな状況にあるのか、私たちからは見えないけれど。
私とあなたは、文字の力で、つながることができます。
チャットカウンセリング「SNSほっとライン」はじめました
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NPO法人東京メンタルヘルス・スクエアでは、2018年4月18日より「SNSほっとライン」を開始します。
私たちは2018年3月1日から3月31日までの期間限定で、厚生労働省の支援を受けて自殺予防のための無料SNSカウンセリング(SNS相談)を実施しました。
この中で、SNS相談には電話や面談とは違うメリットがあることが分かりました。
家族や友人に気づかれずに相談することができる。口を開くのが億劫なほど辛いときでも話ができる。何よりスマホから気軽に相談できる。これらのメリットのおかげで、今までカウンセリングを受けていらっしゃらなかった多くの方と繋がることができました。
SNSカウンセリングの有用性を実感した実績と、多くの利用者さんから頂いた「SNS相談を続けて欲しい」とのご意見をもとに「SNSほっとライン」を立ち上げることに致しました。
実施した経験から、課題も見つかりました。
SNSでの25分は予想以上に短く、十分にお話して頂くことができない、相談を申し込んでもなかなかカウンセラーに繋がらない‥‥。 これらの課題についても改善方法を考えながら、SNS相談を行う予定です。
私たちが今まで取り組んできた無料電話相談「こころのほっとライン(無料電話相談)」や低価格の対面カウンセリング「お話しパートナー」と併せて、より多くの人にカウンセリングを活用していただけるよう努力していきたいと考えています。
SNS相談の実施報告 2018年3月1日~3月31日
厚生労働省が毎年3月に実施している「自殺対策強化月間」の取組として全国で13の団体が選ばれ、「SNS相談」を実施。私たち東京メンタルヘルス・スクエアもその中の1団体として1か月間「自殺対策のSNS相談」を精一杯頑張りました。
私たちが実施した「SNS相談」について簡単に報告します。
※SNS相談を実施した13団体
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000194961.html
東京メンタルヘルス・スクエア(池袋)にて、夜間
SNS相談(LINE)に対応しているカウンセラーとスーパーバイザー
1.データで振り返るSNS相談
◇相談に使用したSNS:LINE、Twitter
◇LINEの友だち登録数:1,029名
◇相談してきた方々:606名
◇月間述べ相談件数:1,415件
◇1日平均 相談件数:45件
◇1回あたりの平均相談時間;53分
◇SNS相談から対面相談へ移行した件数:4件
◇SNS相談から電話相談へ移行した件数:15件
◇警察への緊急通報件数:3件
◇HPからの感想:4件(うち3件が好評、1件がお叱り)
◇担当したカウンセラー、スーパーバイザー総数:60名位
<終了後のアンケート結果より抜粋>
◇SNS相談をして良かった:約80%
◇またSNS相談をしたい:約80%
◇SNS相談で問題がどれくらい解決したか?:5-7割程度解決したという方が1番多く、合わせて全体の45%位
(画面をクリックするとPDFが開きます)
2.全国規模では初めてのSNS相談
東京メンタルヘルス・スクエアにとって全国規模で実施するSNS相談ははじめての経験でした。
でも、それは私たちだけではなく、日本国内において全国規模のでの取組は今回が初。一緒に取組んだ13の団体すべてがこの初めてのSNS相談の体験でした。
大規模なSNS相談のはじまりということになると、昨年2017年9月に実施した長野県での悩み相談がはじめてとなるでしょう。
なお、SNS相談は相談方法でいうと、リアルタイムでのチャット相談となりますが、チャット相談については、筆者がとある通信制高校のスクールカウンセラーとして2016年より行っていました。
今回はその経験を活かすことができたのではないかと思っています。
3.SNS相談を受けるためのカウンセラー教育
この3月の実施前の2月には、全カウンセラーを対象としたSNS相談の研修とロールプレイを10時間程度行いました。さらに筆者がSNSカウンセリング協議会での研修を受講し、当法人のカウンセラー教育にも活かしました。
また、ほぼ全てのカウンセラーがSNS相談ははじめてでしたので、こういった研修にとどまらず、3月の実施中には、カウンセラー5人につき1人のスーパーバイザーが必ずついて、相談を実施していきました。
4.チャットでしか話せないことがある
私自身がやってみてわかったのは、SNSでしか、チャットでしか話せないことがある、ということでした。
人は似ているところはあれど、誰ひとりとして同じ人はいません。面と向かって声を出して相談する方がいいという人もいれば、電話で話すのが嫌いな人もいれば、チャットでの方が話しやすい人もいます。
5.ボリュームゼロでなら相談できる
この期間中に、筆者が一番印象に残った言葉は、いつの間にか相談員の間から出てきた次の言葉です。
「ボリュームゼロでなら相談できる」
どういう意味かわかりますか?
いま、中学生以上であればスマホは多くの人が持っていますが、年齢が下がるほど電話での連絡は少なくなる傾向にあります。メール使用も減っていて、LINEなどSNSでの連絡が主になってきています。
チャットは声に出さなくても相談できます。文字で打っていけば相談できるのです。これはどういうことかというと、例えば家で、家族とリビングで過ごしていても、スマホを使って、家族に知られずに相談できる、ということです。電話ではボリュームを上げなければいけませんので、このようなことはできません。
SNS相談には、これに限らず様々な特徴があり、メリットにもなれば、デメリットにもなります。
今後も東京メンタルヘルス・スクエアでは、SNS相談にも果敢に取り組んでいきたいと考えております。
どうぞ、これまでと変わらぬご愛顧、そしてご指導を何卒よろしくお願いいたします。
2018年4月15日
特定非営利活動法人 東京メンタルヘルス・スクエア
理事 新行内勝善
日本発! Twitterカウンセリングも開始しました
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NPO法人東京メンタルヘルス・スクエアでは、3月の自殺対策強化月間に合わせて、3月1日から3月31日までSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を使った無料のカウンセリングを行っています。
多くの皆様から、一人で悩んでいること、抱えているお気持ちを聴かせて頂いています。
「相談をしたいけどLineを使っていない」とのご意見にお応えし、3月19日からTwitterのダイレクトメッセージを使ったカウンセリングも開始しました。
Twitterを使ったカウンセリングは日本初の試みです!(当団体調べ)
Lineからのご相談はもちろん、Twitterからのご相談もお待ちしています。Twitterで相談するには、SNSカウンセリングセンターのアカウント(@SNS_Counseling)をフォロー後、ダイレクトメッセージでお声がけください。
LINEの友だち追加、Twitterのフォローはこちらから
※ご相談前にSNS相談の利用規約をご確認ください
SNSカウンセリングの詳細はこちらをご覧下さい。
SNSカウンセリングを行なっています
3/1~3/31の期間、私たちスクエア・カウンセラーが交代でSNSカウンセリングを行っています。
顔は見えないものの、文字メッセージから沢山の気持ちを受け取っています。
東京メンタルヘルス・スクエア(池袋)にて、夜間
SNS相談(LINE)に対応しているカウンセラーとスーパーバイザー
SNSカウンセリングでは、どんなことをお話いただいても大丈夫です。
悲しい気持ち、苦しい気持ち、周りの人に言えない話。
わざわざ相談するほどの悩みではないかもしれないけれど聞いて欲しいこと。
こんなことを話したら迷惑かな、重いかな、と話すのをためらってしまうこと。
あなたの大切なお話を聞かせてください。
ご都合のいい時間・場所で、話しやすいペースでお話してください。
ここにいる全てのカウンセラーは、皆さんと繋がり、話を聴かせてもらうことを、心から嬉しく思っています。
もちろん話して頂いた内容は当団体から外に漏れることはありません。
安心してお話しください。

SNS相談に対応中のカウンセラー
そして、そんな私たちの思いが通じたのか、メッセージが集中し、お待ちいただくことも増えています。
順番になりましたらメッセージをお送りします。お時間のご都合が合えば、お話を聞かせてください。
また混雑状況によっては相談終了時間22:50までに対応できない場合があります。その場合も早めにSNSでメッセージをお送りします。申し訳ありませんが、日を改めてご相談ください。
プレスリリースを発表しました。ぜひご覧ください。
https://www.facebook.com/NPO.TokyoMentalHealth/posts/1620988307983764
SNSカウンセリング(Line)は以下のリンクからご利用ください。
https://www.tsunasou.jp/entrance/tokyomentalhealthsnscounselingcenter
スクエア・カウンセラー 一同