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5月23日、前野教授にウェビナー『幸福学入門』にご登壇いただきました - 悩み相談と心の対話の場所 | NPO法人東京メンタルヘルス・スクエア

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5月23日、前野教授にウェビナー『幸福学入門』にご登壇いただきました

カテゴリ: 講座のほうこく 作成日:2021年06月02日(水)

 

professor maeno

 

 

 

幸せとは何か? 人は何をもって幸せなのか?

 

誰でも一度は幸せの定義(基準)を考えたことがあるかと思います。幸せとは一体何かを知るべく、幸福学の第一人者、慶應義塾大学 前野隆司教授に5月23日開催「幸福学入門」のウェビナー講師をお願いしました。

 

始めに、前野教授は「幸せ」と「happiness」の違いにについてお話して下さいました。一見、「幸せ=happiness」のようにとらえてしまいそうですが、「happiness」は感情としての短期的な幸せであり、「幸せ」はもちろん、心の状態を表現する際にも使いますが、happinessを含めたもっと広い範囲、そして長いスパンでの「幸福」を意味するそうです。さらに、幸福に健康や福祉が加わりWell-being(良好な状態)となります。幸福学は、予防医学であり、ポジティブな心理学を研究し、幸せな人がさらに幸せになるための学問なのです。

 

ここで1つ、ウェビナー中にお話のあった幸せな人がさらに幸せになるメリットの具体例を挙げたいと思います。
とある研究によると、幸せな社員は不幸せな社員より創造性が3倍高く、生産性が1.3倍高くなるそうです。幸せな人がさらに幸せになることで、創造性、生産性が向上し、日本社会全体、また世界全体の幸せに繋がっていく可能性を秘めているのです。幸せは産業の発展や人類の繁栄にも関係しているので、幸福学はこれからもどんどん研究されるべき学問だと思いました。

 

現在では批判は少なくなったそうですが、前野教授の"幸せな人がもっと幸せになる"研究が批判を受けることもあったようです。しかし、現在はウェルビーイングという言葉や考えが世間に広まってきており、幸福学はますます注目、研究されていく学問になっていくことと思います。

 

2021年のWorld Happiness Report では、日本の幸福度は56位でした。この順位は先進国の中で最下位です。このレポートはアンケート形式での回答をもとに作成されるそうなのですが、回答には文化的背景が反映されてしまっており、個人主義(主に欧米圏)の国の人々は、比較的高い数字に丸を付け、集団主義(主に東アジア圏)の人々は、真ん中くらいの数字に丸を付けるのだそうです。 

 

さて、日本のアンケートの結果はというと、中間の数字と高い数字のふた山になります。近代の日本の欧米文化を取り入れた教育の歴史などが関わり、個人主義と集団主義の考え方の人々がミックスされていると考えられるとのことでした。そのため、日本の幸福度はアジアの国々の中では高く、欧米の国々と比べると低くなっています。先進国は欧米の国々が占める割合が高いため、どうしても順位が下がってしまいます。アンケートの取り方によっても結果が大きく変化するため、レポートだけで日本の幸福度の順位を判断するのは少し難しいようです。

 

私もなぜ日本は先進国中で最下位なのか疑問に思っていました。しかし、そこには文化的背景や、主観を基準としたアンケート手法などが関係していることを知り、必ずしもWorld Happiness Reportの結果がその国の幸福度の全てでは無いと言うことが分かり一安心しました。

 

アンケートは、良い意味、悪い意味を含めて国民性が反映されてしまうので、あまり依存しすぎないほうが良いと、前野教授はお話されていました。
しかし、同じ国の中で幸福度を調べると、幸福度が高い人の方が長寿であると言うことが分かっており、属性をそろえて比較していくと、その国の人々の幸福度が分かってくるのだそうです。

 

幸福学は、予防医学より遅れて研究されるようになりましたが、近年、幸せと健康の相関関係が続々と解き明かされてきているようです。人は幸せな状態だと、体の良好なコンディションを保つことが可能となり、長寿にも繋がっていきます。
90歳~100歳になると、自己中心性が減少する、寛容性が高まる、死への恐怖が低くなる、空間や時間を超越する(例えば、多くの人が認知機能が低下し空間や時間などの概念に囚われにくくなる)などの傾向が出てくるため、さらに幸せな気持ちで過ごすことができるのだそうです。このお話を聞いて長生きするのが楽しみになりました。

 

前野教授が2012年に書かれた書籍「幸せのメカニズム」で発表された、幸福学の基礎は下記の4つの因子から成ります。

 

  1. やってみよう因子:頑張れることや目標があったり、また、自分の強みを知り、主体的に頑張っている人は幸せです。
  2. ありがとう因子:利他性、思いやり、人との繋がりやコミュニケーションは幸せなを生みだします。
  3. 何とかなる因子:前向きでチャレンジ精神をもって楽観的な人は幸せです。気持ちが楽観的になると、幸福度が上がり生産性や創造性も上がっていくのです。
  4. ありのままに因子:自分軸、本来感、自分自身を知っているということは幸せです。

 

今は4つの因子の全てを満たしていなくても、これからの未来を楽しみに、そして、自分が楽しめる範囲で行動していくことによって、どんどん幸福度が上がっていくのだとお話されていました。

 

お金やモノ、他人と比べられることによって得る「地位財」型の幸せは長続きせず、お金ではなく、趣味や家族、目標などの、幸せと健康な体と良い環境(ウェルビーイング)が揃っている「非地位財」であることが長続きする幸せがのキーとなるそうです。

 

また、幸福学の4つの因子に加えて、未発表の新たな幸福学の基礎として、さらに詳細な分類も発表してくださいました。

 

今回の前野教授のお話を聞いて、長続きする幸せとは物質的なモノやコトから得られるものではなく、自分自身を知ることだったり、他者との関係性やコミュニケーションからも得られるものであること。主体的であるか受動的であるかなどのバランスも大切になってくるのだと感じました。

幸せの形は人それぞれですが、人類全体の幸福度を上げることが私たちの明るい未来に繋がって行くのではないかと思います。

 

 

2021年6月2日 
事務局 AJ

 

 

 

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