2022.10.6(木)松原ステーブルス訪問記 ~馬にも、人にも、子どもにも優しい養老牧場~ 2
今回、ご縁をいただき、10月6日(木)に新潟県胎内市の松原ステーブルスに訪問してきました。松原ステーブルスの簡単なご紹介と、当日訪問の様子の一部をブログにてお伝えします。
5 代表 明星泰崇さん
当日、朝から夕方まで私を案内してくださったのが松原ステーブルス代表の明星泰崇(あけぼしやすたか)さんです。
青森県出身の明星さんは元々は、車の販売修理関係の仕事で東京でも2−3年働いていたそうですが、どうせ地方勤務しなければならないなら早いうちにということで、新潟の粟島(あわしま)という佐渡島の北東50キロ少々のところにある島に赴任しました。
そこで馬に出会い、粟島での小中学生の山村留学である「しおかぜ留学」に関わり、現在の松原ステーブルスへとつながっていきます。
左から、オーナー:松原正文さん、代表:明星泰崇さん、(筆者)、角田さん。厩舎にて
6 馬の寿命は20-25年だが、寿命を待たず99%は・・・
明星さんに聞くと、馬の寿命はおよそ20-25年、およそ3-4倍かけると人間の年齢にあたるそうです。競走馬が、華やかに現役でレースを走れるのは7-8才(人間でいう20-30代)までで、その後、松原ステーブルスのような養老牧場へ行ったり、乗馬馬になったりするそうです。
しかしながら、それはごくごく一部であり、99%は屠殺(とさつ)され肉(馬刺し*)になっていくのだそうです。
大変悲しい現実ですが、明星さんは養老牧場でプロとして馬に携わる者の責任として、屠殺の実際もしっかりと目に焼き付けた上で、現在の松原ステーブルスでの活動をされています。
おそらくこうした不都合な真実というのは、私たちの知らないところでたくさんあるのかもしれません。
ペットショップで売れ残ったペット、飼育放棄や虐待されたペット、殺処分等々、知れば知るほど悲しい現実というものがあるのだろうと思います。
さらに、私たちが食べている家畜(鶏・豚・牛ほか)はそもそもどうなの?と考えると袋小路にはまってしまいそうです。
*馬刺しのほか、加工肉、ペットフード、動物園の大型動物のエサ、皮や尾は材料になるそうです。
7 日本では養老牧場のビジネスモデルは崩壊している
99%が肉となってしまうことについて、明星さんは、「はじめから食べることを目的として育てられた家畜とは違い、馬はそれを目的とはせず、競走馬になることを目指して育てている」とおっしゃり、たしかにそうだと思いました。
調教師として馬を育ててきたオーナーの松原さんに限らず、馬に関わる多くの方は、実は心の内に大きな葛藤を抱えられているのだろうと思いました。
そのようななか、松原ステーブルスのような引退馬の養老牧場の存在価値は大きいと思われますが、明星さんいわく「現在の日本ではビジネスモデルは崩壊している、寿命を全うさせる事が目的ではないから」と言います。
8 欧米では「動物介在療法」「動物介在教育」が
明星さんは動物介在療法*、ホースセラピーの勉強会などにも参加し、そこでさまざまに勉強もされています。
そして「日本の馬への認識は20年は遅れている」ことを痛感しています。
日本では崩壊している養老牧場のビジネスモデルですが、世界に目を向けると、欧米では引退馬が「医療」「教育」「活動」の3つの分野で活かされているそうです。
医療では、医師や作業療法士が「動物介在療法」を行っており、学校では「動物介在教育」が行われているそうです。
特にドイツ・オランダ・米国が盛んであるそうです。
「アルプスの少女ハイジ」のクララではありませんが、車いすの子が歩けるようになったりすることもありますが、心身へのさまざまな効果が認められているそうです。
*動物介在療法(Animal-assisted Therapy,以下AAT):NPO動物介在教育・療法学会では、AATについて以下のように定義しています。「AATは、一般的には伴侶動物(主に犬、馬など)の力を借りて人の精神的あるいは肉体的な健康状態を向上させるために実施される補完医療の一種です。」
(この項続きます)
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