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SMS(ショートメッセージ)相談 実施報告 - 悩み相談と心の対話の場所 | NPO法人東京メンタルヘルス・スクエア

東京メンタルヘルス・スクエアblog

SMS(ショートメッセージ)相談 実施報告

カテゴリ: 私たち(TMS)の活動 作成日:2025年07月12日(土)

SMS(ショートメッセージ)相談 実施報告
SNS登録せず,すぐに携帯(スマホ/ガラケー)から相談できる!

2025年5月10日 東京メンタルヘルス・スクエア

 

 

 厚生労働省の自殺対策のSNS相談(チャット相談)では初の試みとなるSMS(ショートメッセージ)での相談を実施しました。

全国規模で組織的に行うのは本邦初と思われます(弊社調べ)。今回の相談実施報告をします。

 

1 はじめに
本実施により,ショートメッセージでも,これまでのLINEやWebチャットと同様にチャット相談ができることがわかりました。加えて,LINEやWebチャットにはない利点もあることもまたわかりました。そして,利用者にとってさらに使いやすい相談となるためのいくつかの課題も見えてきました。
ショートメッセージ相談は予算状況により4月末で一旦休止すでが,予算調整つき次第なるべく早い時期に再開し,相談が必要な方々にさらにお力になれるよう努力を続けてまいります。

 

2 ショートメッセージ相談実施概況
ショートメッセージ相談をこれまでのLINEでのSNS相談(弊社データ)と比較すると,男性の利用比率が11%高いことと,一世代上の層が相談利用していました。
これまでのLINEは男性20%・女性77%であったのに対し,ショートメッセージ相談は男性31%・女性63%でした。ショートメッセージ相談の方が男性比率が11%増えています。


年代別では,LINEは,多い順に①10代(30%)・②20代(22%)・③30代(19%)となり,10-30代で7割を超えています。一方,ショートメッセージ相談では,①40代(33%)・②20代(26%)・③30代(22%)の順となり,30-50代で8割を超えています。このように,ショートメッセージ相談の方が年代層は一世代上の層であることがわかります。

 

2.1.SMS(ショートメッセージ)相談実施期間
2024年12月26日~2025年4月30日・・・総計98日間(621時間。1日平均約6時間)*

 

2.2.相談総数252件
<相談対応数内訳>
・12月26日~2月14日 相談対応数50件,相談申込数97件
・2月15日~3月31日 相談対応数131件(うち,応答無し41件)
・4月1日~4月30日 相談対応数71件(うち,応答無し22件)

 

2.3.相談者:性別,年代,職業(集計期間:2/15~3/31,n:131)

 

a.性別(下図) 男性:31%,女性:63%

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 b.年代(下図) 多い順に,①40代:33%,②20代:26%,③30代:22%

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3 相談者アンケート結果

相談後,相談者にアンケート(任意)を行いました。78名の方から回答(回答率31%)。

 

3.1.相談満足度(5段階評価)

約8割の方が,相談に満足していました。

フォームの回答のグラフ。質問のタイトル: 5.今回の相談の満足度を教えてください。回答数: 78 件の回答。

 

3.2.相談しての気持ちの変化(5段階評価)

相談しての気持ちの変化では,約8割の方がよい方向へ変化していました。

フォームの回答のグラフ。質問のタイトル: 6.今回,相談してのお気持ちの変化はありましたか?。回答数: 78 件の回答。 

 

 

3.3.また利用(相談)したいか?(5段階評価)

ショートメッセージでの相談をまた利用したいと回答した方が9割以上を占めました。

フォームの回答のグラフ。質問のタイトル: 7.ショートメッセージでの相談をまた利用したいですか?。回答数: 78 件の回答。 

 

 

 

4 総評

4.1.ショートメッセージ相談は中高年男性層にリーチしやすい

ここ最近の自殺の状況としては,総数は減っているものの,子どもと女性の自殺者数は増加・横ばい傾向が続いています。一方で,自殺者総数に占める数では,男性>女性,中高年層>若年層という状況は変わりません。つまり男性中高年層の自殺者数が最も多くあります。

今回,ショートメッセージ相談利用では男性が多く,年代層も高くなることがわかりました。自殺者数が最も多い男性中高年層によりリーチしやすいチャット相談の手段であることがわかりました。

 

4.2.緊急対応時,相談者に最少時間でコンタクトできる

自殺対策の相談においては,自殺を瀬戸際でも持ちこたえるために,警察と連携して行う緊急対応が少なからずあります。その際,これまでのLINEでの相談では,本人特定に時間を要し,一刻一秒を争う命を守るための緊急対応においては困難さもあります。一方,携帯電話番号を使用するショートメッセージ相談では,携帯電話番号を使用するため,警察と連携しすぐに本人特定ができるため,最少時間で緊急対応ができます。このため,命を守れる確率がさらに高まります。

携帯電話番号使用においては,これまでのLINE以上に,個人情報保護法にのっとった個人情報の取り扱いの厳重さが必須となります。

 

5 今後の課題

5.1.広報について

今回の実施では,相談員待は延べ621時間待機してました。これに対して相談総数は252件です。およそ2時間待機して1件の相談,つまり1時間に0.5件の相談です。一方,これまでのLINEでは1時間あたり少なくとも5件以上の相談に対応しています。すなわち,ショートメッセージでの相談数はLINE相談数の10分の1程度にとどまったということです。

今回,ショートメッセージ相談の広報では,一番肝心の厚労省の自殺対策相談のサイト「まもろうよこころ」では告知していません。この影響は大きいため,今後は「まもろうよこころ」にて告知していかなければなりません。

 

5.2.相談システムについて

ショートメッセージ用の既存のシステムは多数あります。しかしながらそれらのほとんどは,業者からユーザーへの送信専用,つまり単一方向のメッセージ送信専用システムです。相談で使うためには,双方向での送受信ができなければ,相談者とカウンセラーのリアルタイムでのチャット相談はできません。

チャット相談をショートメッセージシステムで行うには数々の課題があります。この課題の多くは予算により解決できますが,予算ギリギリで運営している当法人においては,厚労省との協力はもちろん,様々な協力者が必要です。システム会社はもちろん,資金提供者の協力や,ショートメッセージ相談への志をもって協力してくださる法人・個人のお力もさらに仰ぎたいところです。

 

*.相談実施期間・時間詳細(総計98日間/621時間)

12/26(木)9:00〜12:00

12/27(金)12:00〜16:00

12/30(月)4:00〜7:00

12/31(火)21:00〜24:00  計4日間,13h

1/2(木)9:00〜12:00

1/4(土)12:00〜16:00

1/7(火)19:00〜22:00

1/9(木)19:00〜22:00

1/11(土)19:00〜22:00

1/14(火)19:00〜22:00

1/16(木)19:00〜22:00

1/18(土)19:00〜22:00

1/21(火)19:00〜22:00

1/23(木)19:00〜22:00

1/25(土)19:00〜22:00

1/28(火)19:00〜22:00

1/30(木)19:00〜22:00  計13日間,40h

2/3(月)17:00~21:00

2/5(水)17:00~21:00

2/7(金)17:00~21:00

2/10(月)17:00~21:00

2/12(水)17:00~21:00

2/14(金)17:00~21:00  計6日間,24h

2/15(土)~28(金)17:00~21:00  計14日間,56h

3/1(土)~4/30(水)12:00~16:00,17:00~21:00  計61日間,488h


東京メンタルヘルス・スクエア 副理事長 新行内勝善