SNS相談 (2) カウンセリングで大切にしているもの
東京メンタルヘルス・スクエアのSNS相談
(2)カウンセリングで大切にしているもの
SNS相談利用者の皆様に、SNS相談の向こう側にいる私たちのことを少しでも知ってもらいたくて、NPO法人東京メンタルヘルス・スクエア(以下TMS)の創始者であり理事長である武藤清栄所長に「東京メンタルヘルス・スクエアのSNS相談」というテーマでお話をお聞きしています。
第2回は「武藤所長がカウンセリングで大切にしているもの」です。
――所長が対面のカウンセリング、SNS相談で大切にしていることを教えてください
対面の面談でも、SNSの面談でも、信頼関係というのが一番重要じゃないでしょうかね。
対面のカウンセリングに来てくれた人には、まずは「この場所は分かりにくくなかったですか」と聞く習慣があります。
よく来ていただきました、あなたを歓迎していますよというメッセージを送っているということですかね。
次に全体の形を大切にします。お姿だけでなく、雰囲気などを含めた、全体の形。そこにどうしても目が行きます。それは対面のカウンセリング独特のものですよね。
さらに対面では、自分も相手に見られているわけです。
お互いに様子をうかがいながら、どういう話をされにきたのかとか聞きます。
はっきり言語化できる人もできない人もいるけれど、言葉以外に表情や態度からも読み取れることがあるから、一回の面談でだいたい見立てられることが多い。
この人が本当に困っていることは何だろう、本当に何とかしたいと思っていることは何だろうと。
なかなか見立てられない時は、私だったらエンプティチェアを使うときがあります。
ひとりロールプレイ、寸劇を通して、その時の気持ちを味わってもらう方法です。
「お母さんともっと話したかったのね、お母さんにわかってもらってもらいたいことがあったんだよね。じゃあせっかくだからお母さんにここに来てもらおうか」って言って、空っぽの椅子を指して「お母さんがきたと想像してみて。見える?見えたらそのお母さんに言いたい事言ってみて」って。
他にもいろんな技術を持っているカウンセラーであれば、ゲシュタルトセラピーとかアサーティブとか認知療法とか精神分析とかね、いろんな技というかスキルを発揮できる。それが対面の面接だと思います。
――SNSでは、そういうことはできませんね。
面談では非言語の情報のやりとりから、信頼関係が築きやすい。全体の形も見えやすい。
一方、SNSは嘘ついてもいいし、隠してもいい。カウンセラーからは全体の形がなかなか見えない。
でも、嘘をつくにはそれなりの理由があるんでしょう。
隠すことにもご本人にとって意味がある。それは隠させたほうがいい。
――隠させてあげられるというのは、あるかもしれないですね。
隠していることも、話してくれたことも、相手を尊重しながら聴くということ。
そういうところから信頼感が生まれると思います。
そして、カウンセリングで大切にしているもの、やっぱりユーモアが一番です。
――ユーモアは、人間関係だけではなく、カウンセリングのキーワードでもあるのですね。
(この項、続きます)
広報スタッフA
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