疾患専門相談員へのSNSカウンセリング研修を行いました
疾患についての相談を専門とする相談員の方々からSNS相談を取り入れるための研修をしたいと依頼を頂き、研修をさせていただきました。
講師を務めた新行内に、研修を通じて感じたことを聴きました。
――相談員の方はどんなことに興味を持っていると感じましたか?
SNSを用いたチャット相談とはどのようなもので、どのよう進めているのかに興味をお持ちでした。
全国SNSカウンセリング協議会の「SNSカウンセラー能力要件」を事前に読み込んで、能力要件の中から特に研修してほしい技法をリクエストして研修を依頼されました。
――リクエストについて、研修内容で意識したことはありますか?
相談内容の事例を事前にいただいていました。それをできる限り踏まえつつ事例に対してカウンセリング技法を用いた場合の応答例を交えて技法を紹介しました。
――現場に即した具体的な対応例は、相談員の方々にも伝わりやすかったのではないかと思います。
その中で、一番伝えたかったことは何でしたか?
基本を大切にすることを、ぜひお伝えしたかったです。
どのような相談内容も「気持ちを受け止める」「気持ちを汲み取る」「相手の反応をよく見る」ことが基本になります。
“汲み取る”というのは、”共感する”よりもう少し積極的に相手に近づいていくプロセスです。
上手く表出できていない気持ちを汲み取ることができると、分かってもらえたと感じられ、本当に相談したいことを話しやすくなります。
――新行内さんが言いたかったこと、上手く伝わっていそうでしたか?
『専門相談員という立場上、疾患に関する情報提供も大切ですが、心理支援も大切と改めて感じました』と感想をいただきました。伝わってるんじゃないかなと思います。
――それは嬉しいですね!
一方で、私達カウンセラーが、専門相談員から学べることはどんなことでしょう?
SNS相談という新しい手法を取り入れようという意気込みを感じました。
せっかく研修をしてもらうのだから最大限吸収しようとされている。その勉強熱心な姿勢にはぜひ学びたいところです。
――興味深い質問はありましたか?
医師や病院に対する怒りやクレームの相談にどう対応しますか?という質問がありました。気持ちを聴くだけでは満足しない場合にどうするか、という質問です。
――専門相談ならではの事例ですね。新行内さんならどうしますか?
まずは聴いて、気持ちを鎮める、収めることです。人にとって気持ちの処理が一番難しいものです。
気持ちが引っかかっていると、先に進めないですから。
自分の気持ちを表現でき、それを受け止めてもらえる場所があることはとても重要なことです。
こちらがしっかりと寄り添って傾聴しても、怒りやクレームの気持ちが鎮まらなければ、次のステップとして医師等への事実確認といった具体的な方法を検討すると思います。
――どんなに医療を駆使しても思うように快復しない状況で、やり場のない怒りが医療に対する怒りにすり替わっていることもあると思います。
本当は医療への怒りではないとしても、カウンセラーがその場で指摘しても受け入れられないことがほとんどです。
それは当然ですが、こちらが力づくで否定できるものでもない。相手が大人の場合はもちろん、子どもの場合だって難しい。医師のように一定の権威ある専門家の立場からの指摘であれば、渋々納得することもありますが。
――そうですね、本人が自ら納得できないと。
当団体の武藤清栄所長は「諦める」という言葉を前向きな言葉として使います。
「諦める」という言葉の語源は、一説には「明らかにする」という言葉があるそうです。
できることとできないことを明らかにした上で、やっと「諦め」がつくことがあります。それができると、つまり諦めることができると、一歩先に進むことができるのです。その明らかにするプロセスを共に進めていくことが、私達にできることではないかと思います。
――最後に。今回研修をしてみて、率直な感想は?
いつもの研修は1人で行いますが、今回は研修講師を2人で行いました。手が足りないところを助けてもらい、想像以上にやりやすかったです。
――予想外の発見ですね。では次回から、研修依頼は講師2人組で呼んでいただきましょう(笑)
広報スタッフA
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