【大切な人の命を周りの人々で守る】 高橋聡美先生講演
センシティブだけど重要な話題、「命を守ること」。
コロナ禍も3年目となり、変わらず不安定な世界が続いている今、自殺予防について一緒に考えてみませんか?
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今回は、【大切な人の命を周りの人々で守る ~地域で取り組む自殺予防・ゲートキーパー入門~】というテーマで、一般社団法人高橋聡美研究室代表の高橋聡美先生に講演いただきました。
高橋先生はご自身が機能不全家庭で育ったことから精神看護の道に進まれたそうですが、「私の生育環境も伝えなければ知られないように、心の傷は言わないと見えない」とおっしゃっており、伝えること/相談することの重要性をより一層感じることができました。
高橋先生のお話から私なりに理解した命を守る方法をまとめてみました。
【自殺者数の推移と対策の考え方】
今までの傾向によると男性の自殺者数が女性の約2.0倍であり、特に多かった男性中高年を中心とした対策が取られてきたようです。しかし、その分対策が後回しにされていた女性や子どもの自殺者数がコロナ禍で増加してしまったのが現状とのことでした。
「現状がわかっても、じゃあどうしたらいいの?」となったときに、高橋先生は交通事故死者数に関して説明してくださいました。
交通戦争と呼ばれる時代から現在までの50年間に、犠牲者の数は約1/6に減らせたようです。
その理由は、様々な環境や制度が整ったから。
ガードレールや歩道の整備といったハード面や、交通安全教室の実施といったソフト面、さらには法律の整備等の様々な観点から対策を実施してきたことが、実を結んできているようです。
これは同じことが自殺対策にも言えて、これといった特効薬がなくても、原因ごとに対処はできるとおっしゃっていました。
たしかに、「しにたい」と思う背景にはそれを思うだけの原因があって、逆に考えれば、その原因に対処できれば止められるかもしれなくて、「大切な人を守ろう」という大きな目標から実際の行動指針まで明確になり、とても勉強になりました。
そして、もう一つ大切な考え方が「自殺を選ぶ前段階で止めること」のようです。生きづらさを抱えた状態がストレスとなり、ストレスが積み重なって心の病が発生し、そして自死を選んでしまう。生きづらさの段階であれば、誰かが傾聴することで次の段階まで進むのを食い止められるかもしれない。そんなお話から、生きづらさを感じる状態で対処することの重要性を感じました。
【ゲートキーパーとは】
厚生労働省の定義では「自殺の危険を示すサインに気づき、適切な対応を図ることができる人」とされているようです。しかし、高橋先生は「悩んでいる人に気づき、声をかけ、話を聞いて、必要な支援につなげ、見守る人」とおっしゃっていました。
厚労省の定義だと、自分が精神医学の専門知識等がないとかなり難しそうと思ってしまいましたが、高橋先生の定義だと、身近な人間関係/交友関係のなかでちょっと会話するだけでも意味がありそうと思えて、行動のハードルを下がったような気がしました。
【SOSを受け止める(受容傾聴)】
高橋先生は学生に講演をする際には、「抱えている生きづらさに気づくこと」と「悩み事・困りごとレベルで相談すること」の大切さを話されているそうです。私が学生だった頃を振り返ってみると、何かもやもやすることがあっても、周りの目が気になってなかなか相談するのが難しかったことを思い出しました。高橋先生は様々な学校で講演されているということで、生徒さんたちが気軽に相談できるような価値観が広がっていくといいなと思いました。
一方で、受け止める側の大人としては、「受容傾聴」の姿勢が重要とのことです。「受容傾聴」とは、文字通り「まるっと受けとめて、詳しく聴く」こと。
例えば、「仕事が覚えられない」というお話には、「仕事が覚えられないんだね。例えばどんなのが?」と返すことで、相手の情景が見られるとおっしゃっていました。
たしかに、せっかく話したのに分かってもらえなかったとなってしまったら、もう話したくなくなっちゃいますよね。解決策も重要だけど、まずは真っ直ぐに話を聞いてくれる人がいることが大切だなと感じました。
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最後に、今回の講義を受けて感じたことを書こうと思います。
高橋先生は「折れない心をつくるのは難しいから、避けられるストレスは避けよう」とおっしゃっていました。
折れない心があったらどんなに素敵だろうと私も思います。けれど、雨には傘、矛には盾があるように、ストレスから自分を守るすべがあるのなら、積極的につかっていきたいですね。
そして、身近にいる大切なひとがつらそうなときにはそっと傘をさせる、そんな人になりたいと思いました。
今回のセミナーの詳細は下記の本に記載がございますので、もしよろしければご一読ください。
2022/07/28
事務局 sun
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