~「バランスの良い考え方」で快適に生きる~
~「バランスの良い考え方」で快適に生きる~
2024年7月19日(金) 玉井仁先生の講座より
毎日の暮らしの中で「今日は良い日だったな」と思う日もあれば「今日はあんまり良い事がなかったな」と感じる。
そんなことはありませんか?
おそらく誰にでもそのような「良い時」と「悪い時」はあるのではないでしょうか。
感情の波や起伏が起こるとストレスが溜まり疲れを感じやすくなります。
「じゃあ、どうすれば良いのかな?」と思った方に、ぜひ知っていただきたい方法があります。
調子が良くない時もできるだけ穏やかな気持ちで過ごしたいものですよね。
そこで、今回は【「バランスの良い考え方」で快適に生きる~認知行動療法(CBT)のエッセンスをライフスタイルに取り入れよう~】というテーマで
メンタルヘルスの専門家であり、これまで数々の書籍を執筆している玉井仁先生にお話しをしていただきました。
ある事象が起こった時に、その受け取り方やものの見かたを「認知」と言います。
その「認知」に働きかけてストレスなど心の負担を軽くしていく方法が「認知行動療法」です。
うつ病など精神疾患の治療法としても知られていますが、それだけではなく日常の心の問題への対処法としても効果的だとされています。
生活の中で感じるストレスやイライラを「認知行動療法」を取り入れることによって軽減することができると良いですね。
それでは、早速、その具体的な方法についてこれからご紹介していきます。
「バランスの良い考え方」は時には難しいもの。
人は「良い時」と「悪い時」があります。「悪い時」はどうしてもバランスが偏ってしまいます。
その気持ちが揺れる様子を、玉井先生は「やじろべえ」のようだと例えています。
傾いたり揺れたりしながらも、一番安定するバランスを見つけるということだそうです。
そして、その「バランス」は人によってそれぞれ違います。
ある事象が起きた時にイライラする人とそうでもない人がいるように、私たちの感じ方やその時の感情はバラバラです。
だからこそ、自分自身がどうなるとバランスを崩しやすくなるのかを理解しておくことが大切なのですね。
「何とかしたいこと」に気がつくのが大事
今、自分の調子がどんな状況なのかを考えた時、「少し不調かも・・」と気がついたとしても「忙しいから・・」などの理由でついスルーしてしまいがちです。
それは、「まだ大丈夫!」と信じたい気持ち、そしてそう思い込んでしまう心理が働いてしまうからです。
そうするうちにだんだんと体調が悪くなってきて、時には眠れないなどの身体的な不調が現れることがあります。
こうなると大丈夫ではないですね。できればそうなる前に何かしらの手立てを講じたいものです。
そのためにまず、思考の固さについて考えてみましょう。
思考の固さについて~柔らかな考え方~
「考え方」には固さがあります。その固さがどんな固さなのかということが重要です。
例えば何かに対して「こうあるべき」と考えることや白黒はっきりつけたいという思い。これが「考え方のクセ」にあたります。
そして、このような場合は「考え方」がカチコチの固い状態だといえます。
反対に、「考え方」が柔らかすぎても色々と支障が生じます。
つまり、その中間の適度な柔軟さでいることがちょうど良いとされます。
例えば、会社で仕事をしていて「今日は疲れたなあ・・」と感じた時、どうしますか?
「終わるまで絶対に帰らない!」あるいは「もうやりたくないから、会社を辞めてしまおう!」と考える。
どちらも極端ですね。
こんな時に「今日は疲れたから早く帰って休もう。また明日やればいいよ」と思う。
これが、ちょうど良い柔らかな考え方だと玉井先生はお話しくださいました。
ついつい頑張ってしまう人も時には頑張りすぎない事が大切です。
極端に偏らないというこの考え方、これなら私たちも取り入れやすいのではないでしょうか。
気持ちが揺れた後に回復をする
例えば、すごく嫌な事を言われた時、心の中では「イラっ」としてもそれをそのまま言葉にしないことが皆さんもありませんか。
もちろん、人間関係を壊さないためには大切なことですが、その分ストレスを感じたりします。
嫌な事を言われて嫌な気分になること自体は自然なことです。大事なのはそこから回復できるかどうかなのです。
つまり「気持ちが揺れる」⇒「回復する」この二つがセットではじめて健康といえるのです。
「基本認知モデル」を使って状況の整理や自己理解をする
私たちの周りで起きる様々な刺激や出来事、入って来る情報について認知行動療法では「思考」「感情」「行動」「身体」の4つの枠組みで見ます。
ここで参加者の方から次のような質問がありました。
【質問】「認知行動療法」では「行動」を使う場合、具体的にはどのような事をしますか?
この質問について玉井先生は次のように回答してくださいました。
例えば、職場で「私はAさんから嫌われているのではないか?」と思った時のケースで考えてみます。
そこで、「Aさんに本当に嫌われているのかどうかを検証するための行動をする」とします。
その行動として⇒「挨拶をする」と決める⇒実際にAさんに挨拶をしてみる。
返事がAさんから返ってくる⇒気分が変わる⇒「あの時はたまたまこの人、機嫌が悪かっただけで私は嫌われていなかったのだな」と思う。
いかがでしょうか? このようにちょっとした行動が時に気分を大きく変えるものとなるのです。
こういったことは、おそらく皆さん何かしら普段から行っているのかもしれませんね。
そして、この時「自分の状況を少し引いて見る」ということが重要だと玉井先生からのアドバイスがありました。
つまり自分自身のことですが、すこし引いたところから俯瞰してその状況を見てみることが大切なのですね。
「認知行動療法」では「セルフモニタリング」と呼びますが、「引いて見るということ」を練習して少しずつ身につけていけると良いのではと思いました。
不調を乗り越えたいときの方法について
「不調」は誰にでもあるものです。
では、「不調」の時はどのように対処をすればよいのでしょうか。
ここで玉井先生がおすすめの3つの方法をご紹介します。
「7人作戦」⇒自分以外の7人に置き換えてみる。家族や友人、あるいは歴史上の人物など7人を思い浮かべて、「今、この状況でこの7人ならどう思うのか?」と考えてみる。
「最悪な状況と比較する」⇒今よりもっと最悪な状況を想像して、「うん、それに比べると今のほうがまだ良いな」と考える。
「ツッコミを入れる」⇒苦しい思いをしている時に「また、自分で自分を追い込んでいるね~」と自分自身にツッコミを入れる。この時に大事なのはユーモア。
ちなみに玉井先生の一番のお気に入りは「ツッコミを入れる」ことだそうです。
よくご自身に入れているそうですので、どのようにツッコむのか機会があればぜひ聞いてみたいですね。
さて、ここまでいかがでしたでしょうか。
今回の玉井先生のお話しの中に「この方法があったのか!」や「こう考えると良いのか・・」など様々な気づきがあったのではないでしょうか。
こうあるべきとする「べき思考」や、物事をはっきりさせたい「白黒思考」なども「考え方のクセ」です。
その「クセ」を客観的に分析してみるとバランスを崩しやすい原因であることがわかります。
ただ、そのような「クセ」があったとしても「練習をするとその偏ったクセが治せるようになる。」とのお話しがありました。
肩の力を抜いて、自分がラクにいられる方法を少しずつ試していく。
続けるうちにだんだんと変わることができるのだ・・と思うと気持ちがス~ッと軽くなりますね。
もし、どうしてもその方法が見つからない場合は、誰かに話しを聴いてもらうのも良いかもしれません。
その結果として、気持ちがラクになって回復した時は、その前後の事象をチェックすることも大切です。
「こころ」と「身体」、両方の回復を意識しながら自分自身にしっくり合う方法を見つけたいですね。
私もできることからゆっくり無理のないように始めてみようと思います。
最後となりましたが、皆さんもこれを機に、今一度ご自身の「考え方のクセ」について考えてみませんか。
そして、少しでも気持ちがラクにいられる、ちょうど良いバランスを探してみてはいかがでしょうか。
だんだんと本格的な秋が近づいてまいりました。芸術の秋、運動の秋、食欲の秋・・・。今年はどのような秋にしますか?
空高く、爽やかな風が吹くこの季節、どうぞ心身ともに健やかにお過ごしください。
事務局 Yoshiko T.
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