~発達障害・グレーゾーンの「あの人」との快適な関係のつくり方~セミナーのご報告
~発達障害・グレーゾーンの「あの人」との快適な関係のつくり方~
2024年9月29日(日)野波ツナ先生のチャリティーセミナーより
12月も押し迫り寒さがましてまいりました。
皆さん、いかがお過ごしでしょうか。
東京メンタルヘルス・スクエアでは、今年も様々なセミナーを開催してきました。
今回は「発達障害・グレーゾーンの人とのより良い関係を作るにはどのようにすればよいのか」を振り返ってみたいと思います。
さて突然ですが、皆さん「カサンドラ症候群」をご存じですか?
「自閉スペクトラム症」(ASD)のある人のパートナーや身近な人が、ASD当事者と良好なコミュニケーション・人間関係性を築くことができず、その精神的ストレスから心身にさまざまな症状が出ている状態をあらわす言葉です。
その症状は様々ですが、一例として「頭痛」や「不眠」、「動悸」「めまい」、あるいは「自己肯定感の低下」や「無気力」「不安障害」、さらに「抑うつ状態」を引き起こすなど身体的、精神的なものがあるとされています。
では、もし「カサンドラ症候群」になってしまったらどうすれば良いのでしょうか。
今回のセミナーは、ご自身がカサンドラ症候群でASDのパートナーさんとの日常を綴った著書がたくさんの人から支持をされている、野波ツナさんを講師にお迎えしました。
ツナさんは、「アキラさん」と結婚した当初から『個性的でおもしろい人だな』と思っていたそうですが、その後、出産やお子さんの成長、そして家の購入と家族としてのステージが進むごとに「アキラさん」に対しての違和感がツナさんの中でどんどん大きくなっていきます。
ツナさんは本やネットで調べたり、医師に聞いたりして色々とこの状況を何とかしようと頑張ったのですが、その効果は感じられずますます苦しい思いをすることになるのです。
一生懸命にやっていることが空回りしていると感じてしまい虚しさや悲しさが大きくなるばかりで、ツナさん自身の「カサンドラ症候群」も悪化していきました。(詳細はツナさんの「旦那(アキラ)さんはアスペルガー」シリーズをお読みください)
その状態で「アキラさん」にきちんと向き合うことは難しく大変でした。やはり、自分自身が元気でないと理想的な対応はできないと、後になって気がつかれたそうです。
大事な点は「アキラさんの持つ特性」に絞って対応をするということ。
つまり、「ASD」や「カサンドラ症候群」という立場の人でもその特性や悩みはそれぞれで、対応の方法も画一的ではないということなのですね。
これは、ツナさんが実際に経験した当事者だからこそわかるし、そのことを皆さんに伝えたいとの思いが強く感じられました。
これ以外にもツナさんがお話ししてくださったことの一部を挙げてみたいと思います。
・お互いに自分を取り戻すための時間や場所を準備することは大切。
・「相手の人の考え方を変えるのは無理。」ただし、「特性に適した接し方で相手の行動が変わることはある。(無理はしないでできそうなことを試してみる)
・「カサンドラ症候群」になってしまったら我慢や無理をしないで、もうダメだと思ったら誰かに助けを求める。きっと誰か助けてくれる人がいるはず。
・「そこから逃げてもいい」という気持ちをいざという時の隠し玉として持っていると良い(そう思っているとぎりぎりまで追い詰めることはなくなる)
どれも新しい気付きをいただける素晴らしいメッセージでした。
現在、お二人は距離をおいた生活をしているそうですが、以前より良好な関係を築かれているそうです。少し距離を取ることによってお互いがラクに居られると穏やかにお話しされたツナさん。
参考にしたいことや考えるヒントをたくさんいただきました。
とても貴重なお話しをありがとうございました。
人と関わることの難しさ。そして難しいゆえに様々な悩みもあればその一方で、楽しみも生まれてきます。
お互いが無理をしないで程よくラクにいられる関係が続けられる事は大事ですね。
日常において、大切な人たちとそのような関係を築くことができると良いなと改めて感じました。
本日も、最後まで目を通していただきましてありがとうございました。
これからも皆様により良い記事をお届けしたいと思っておりますので、
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
事務局 Yoshiko T.