「自殺・不登校・いじめ」がない・温かい笑いのある学校 ~教育漫才で子どもたちが変わる~
これは、越谷市立越ヶ谷小学校の業間休みの校長室の風景です。
この日は、一緒に取組んでいただいている「いじめ・自殺・不登校ゼロプロジェクト」の来年度の取組の打ち合わせのために、同校の田畑校長先生とお打合せをしていました。
10:20頃にふいに校長室の扉が「トントン」と鳴り、ふと見ると小学1~2年生の子が顔をのぞかせて「校長せんせい、入って良いですか?」と、目をくりくりさせて聞いてきます。
「いいよ~」という田畑校長の返事とともに、「やったー」とばかりに次々と入ってくる小学生たち。
自分が作った俳句の修正を求める高学年、けん玉やコマ回しに興じる低学年、みんな思い思いのことをやりながら、「校長先生、見てみて」って声をかけています。
校長先生に抱き着く中学年の男の子、それをどかして膝に座ろうとする低学年の女の子。
元々は不登校傾向で教室に入れない児童の居場所作りのために、保健室と校長室を「いつでもだれでも来ていい場所」としたことが初めだったそうです。
それが徐々に広まって、学年関係なく、業間休みとお昼休みはみんな争うように校長室に訪れます。
田畑校長先生は「自殺・不登校・いじめ」の三つのなし学校・温かい笑いのある学校の創造を理念に掲げ、それを全力で取組んでいる先生です。
いじめがあれば、校長先生自らいじめた児童、いじめられた児童と直接会い、徹底的に話します。
学校に来られない児童がいれば、家庭訪問をして保護者と、その子に合った対処法をお互いに納得できるまで話し合い、そしてそれを実行しています。
「学校は教員で変わる、そして教員は、校長の取組で変わるんだ」そう信じて常に率先垂範を続けていらっしゃいました。
そんな田畑校長先生が、自らの取組を書籍にまとめました。
「教育漫才で子どもたちが変わる 笑う学校には福来る」です。
田畑校長先生の、若き教員時代の経験から生まれた信念「全員の子どもが揃ってこそ、初めて教育活動が始まる」。
田畑校長先生は頑なにこの信念を貫き、不登校生徒の人数が「平均以下だからよい」「少人数だからまあまあ」という考えを自ら一切認めず、たとえ一人であっても、その子の一生の問題として、真正面から取り組んでいらっしゃいました。
校長が信念を曲げずに突き進む姿を目の当たりに見て先生が変わり、学校が変わる。
ひたすらに、真剣に、頑なに。でも子供とは笑顔で楽しく、柔らかく接し続ける。
この本は、そんな田畑校長先生の愚直ともいえる教育姿勢と、その中で「いじめ」「不登校」をなくすための手段として最も効果があると思い、見つけ出した「教育漫才」の効果が書かれている一冊です。
決して「教育漫才のノウハウ本」ではありません。
いじめ、不登校をなくす、その為にはほっこりとした空気の中で、笑顔に包まれたコミュニケーションあるれる学校を創造する。
そのために何をすべきかを悩み、考え抜いた末にたどり着いた「教育漫才」。その過程を知ることこそが本誌の高い価値です。
「教育漫才」をすればいじめがなくなるのではない。先生、学校全体で「いじめをなくす」意思を持ったうえでの「教育漫才」だから効果が発揮される。そのことをこの本から学ぶことが出来ます。
ぜひ全国で、いじめや、不登校の生徒で悩んでいる先生方みなさんにこの一冊を読んでいただきたいです。
方法論は「教育漫才」でなくても良い。
真剣に児童・生徒と向き合い、全校を巻き込んで対策を全力で進める。
その姿に共鳴する先生が一人でも増えることを願っています。
『教育漫才で子どもたちが変わる 笑う学校には福来る』はAmazon、楽天ブックスなど各種ネットショップで購入できます。
教育関係者、保護者のみなさんにはぜひ読んでいただきたい一冊です。
2019年3月1日
特定非営利活動法人 東京メンタルヘルス・スクエア
企画・広報局 みずぬま
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メンタルヘルスの「見える化」 いじめを『小さなとげ』の段階で解決する
2019年2月25日
特定非営利活動法人 東京メンタルヘルス・スクエア
企画・広報局 みずぬま
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SNS相談(チャットカウンセリング)の1年
【2018年3月:大規模なSNS相談のはじまり】
厚労省の自殺防止対策として、SNS相談を実施することが決まったのは、今から1年前の2018年1月でした。
そこから準備を急ピッチで進めていき、1日10人体制でのSNS相談を実施したのは、その2ヶ月後、3月の自殺対策強化月間でした。
1日カウンセラー10人体制のシフトを組むため、そのおよそ10倍程度のカウンセラーが力を尽くしました。これだけの大規模実施は初めてでしたが、姉妹団体の東京メンタルヘルス株式会社からの多大な協力もありました。
3月のSNS相談は1日あたり約50件、1ヶ月間で約1,500件の「死にたい」をはじめとしたさまざまな内容の相談がありました。
SNS相談は初めてというカウンセラーもこの時点では多かったため、カウンセラーのトレーニングにもさらに力を注ぎ、指導者であるスーパーバイザーも強力にバックアップしました。
(2018年3月のSNS相談結果概要)
自殺対策強化月間における SNS相談の実施結果の分析:厚労省
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/jisatsu/18/dl/2-4.pdf
【2018年4月以降、全国各地よりSNS相談の依頼が殺到】
3月の厚労省のSNS相談の実績が、以降の活動の礎となりました。
2018年4月以降、これまで、以下のSNS相談を実施しています。
★SNSほっとらいん
★東北の自治体の教育委員会:小中高校生を対象としたSNS相談
★北日本の自治体の教育委員会:高校生を対象としたSNS相談
★中国地方の自治体:自殺対策としてのSNS相談
★関西の自治体の教育委員会:中学生を対象としたSNS相談
★こころのほっとチャット(SNSチャット相談):厚生労働省 2018年度下半期 自殺対策SNS相談事業
このように多くのSNS相談を実施していますが、現在SNS相談に関わっているカウンセラーは、姉妹団体の東京メンタルヘルと合わせて総勢約100名を擁しています。
【厚生労働省:SNS相談事業ガイドライン案作成に参画】
また、こういった実績のもと、厚生労働省より、「SNS相談事業ガイドライン案」作成のための作業部会の委員として声をかけていただき、当団体より理事が参画しました。
この作業部会の成果は今年度中には厚生労働省より発表される予定です。
【マスコミ報道、自治体関係者からの視察】
SNS相談の黎明といってよいかと思いますが、マスコミ各社もこの新しい動向に注目し、多方面からの取材がありました。
・BLOGOS
・毎日新聞
・J−CASTニュース
・NHK首都圏ネットワーク
・日本テレビ「News every」
・日本テレビ「news zero」
・福島テレビ
以上のほか、多数のマスコミからの報道や取材を受けました。
また、今後SNS相談を始めたいという自治体関係者や政治家などからの視察もありました。
これだけSNS相談の依頼が多く、注目を集めているということは、SNS相談とはいま時代が最も必要としている相談手段であるのかもしれません。
顔を合わせず、声も出さずに、文字だけで気軽に相談できるのがSNS相談です。
このような相談に対する意見は、賛否が分かれることもあるかと思われます。
それはともかく、SNSに相談を求める方がいる以上、私たちカウンセラーはその声をしっかりと大事にキャッチし、真摯に相談にこたえていこうと考えています。
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児童虐待に至る前に・・・
連日報道されている、千葉県野田市で起きた小四児童の死亡事件。なぜ、大人たちは小さな子どもの命を守れなかったのか‥とても哀しく、不甲斐なく感じます。今回は、組織の対応やありかたの観点ではなく、両親側へ思いを馳せてみたいと思います。
私は昨年、長男を出産しました。産前は、子どもが好きなら育児はどうにかなるだろうと楽観的に考えていましたが、いざ産まれてからは、毎日が楽しくもありますが、子育てはこんなに大変なものかと、ヘトヘトです。
産まれて間もない頃は、子どもが泣き喚く理由が本当に分かりませんでした。
抱っこしたり、おっぱい飲ませて、歌ったり、あやしたりしても、どうしても泣き止まない。「もう、一体どうすればいいの??」と子どもと一緒に泣いた日もありました。
そんな日々を過ごしていくと、段々と子どもの訴えが分かってくるようになりました。
それでも、慣れたと思っていても、毎日の休みがない育児には、疲労やイライラが少しずつ貯まります。
そのイライラは、子どもに対して、というよりは、自分が親として未熟なこと、うまく振る舞えないことも原因のように感じます。子どもに、本当は寛容に接したいけど、いつもそうできる訳がなく、余裕がないときはつらく当たってしまう。
今回の事件のDV、日常的な家庭内暴力やその見過ごしは決して許されることではありませんが、事件を起こした親も、二児の育児でイライラ、疲弊していたのではないかと想像します。
また、児童相談所での一時保護後、自宅へ子どもを強引に引き戻そうとした背景には、"子どもを自分のもとで、コントロールしたい、思い通りにしたい"気持ちが強く現れているかと思います。
もし、自分は親として未熟だということが、わかっていたら。
人を、子どもをコントロールしたくても、完璧にはできないと、わかっていたら。
周囲の大人に、育児の協力を求めることができていたら。
子どもの命は救えたかもしれません。
育児や介護で疲れている、家族とうまくいかないなどで悩んでいる、そんなときは、限界になる前に、東京メンタルヘルス・スクエアのカウンセラーを頼ってみてください。
ここには、寄り添って話を聞いてくれる人がたくさんいます。
なかなか自分の周りの人には言いづらいことでも、第三者へなら話せることもあります。
私も、自分ひとりでは抱えられないと少しでも感じたら、相談しようと思います。子どもと、家族のために。
2019年2月9日
特定非営利活動法人 東京メンタルヘルス・スクエア
企画・広報局ボランティア ちさか
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2019年 新年に向ける想い
新年明けましておめでとうございます。
本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
私たち東京メンタルヘルス・スクエアの理念は「話をちゃんと聞いてくれる人が傍にいる社会を創る」です。
この理念は年が明けても変わりません。
年始に当たり、「私たちが実施することは変わらない。何年たっても、愚直に歩み続けたい」と改めて心に誓っています。
2019年はこれまでの「話をちゃんと聞いてくれる社会を創る」ための活動を継続しながらも、先進的技術とニーズを融合させた革新的な試みに励んでいきます。
具体的には、
従来活動の相談業務として、「こころのほっとライン(無料電話相談)」、「お話しパートナー(低価格カウンセリング)」「こころのほっとチャット(無料SNSチャット相談)」について、増え続ける申込みに対応するべく、カウンセラー体制の増強と、内部の業務のICT導入による合理化を進めることでより多くのご相談を受けることが出来る体制を構築します。
プロジェクト事業としては、いじめ不登校自殺ゼロプロジェクト(学校における子ども達の教育・見守り・相談事業)、マリッジサポート(婚活、結婚生活、妊活、性生活、離婚防止等の教育・相談事業)をPR含めて積極的に推し進めます。
2018年に新しく始まったSNS相談は、厚生労働省から3月と下期の2つの事業を受託することが出来て、カウンセラー達が「つながり、よりそい、やわらぐ」をコンセプトに数多くの相談に真摯に向き合っています。
従来から実施してきた「対面式カウンセリング」「電話カウンセリング」と根っ子では同じカウンセリングではあるものの、今の時代に即した新しい可能性を秘めており、ここを強化していくことで、今の時代に必要とされていることを提供していけるのではないかとその可能性を強く感じています。
今年も次世代の生活スタイルを把握しながら、現実的な相談ニーズを満たせるよう邁進していきます。
最後に、スタッフ一同「こころに花を咲かせよう」のモットーのもと、一生懸命頑張って参りますので、ご支援のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
2019年正月
特定非営利活動法人 東京メンタルヘルス・スクエア
専務理事 武藤収
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大人の発達障害講座 『カサンドラ症候群への 支援と脱却』
10月13日(土)に、スクエアの公開講座として、大人の発達障害講座 『カサンドラ症候群への支援と脱却』を開催しました。
外部講師としてお招きしたのは、大好評『旦那(アキラ)さんはアスペルガー』シリーズの著者である「野波ツナ先生」です。
野波先生は、“カサンドラの苦しさはまだまだ知られていない。もっと広く、この苦しさを知っていただいて、スクエアのような団体から支援の輪が広がってほしい”という想いで、講演の依頼をご快諾くださいました。
今回の講座の定員は40名でしたが、一般の方々からたくさんのお申し込みをいただき、参加者(カウンセラー・一般の方々)とスタッフを合わせると50名超となりました。
みなさん、真剣な眼差しで野波先生のお話に耳を傾けていらっしゃいました。
発達障害やアスペルガー症候群の概要・アキラさんの言動例・カサンドラ症候群の概要・野波先生ご自身のカサンドラ体験の詳細・医療や支援に関する情報など、盛りだくさんの内容について、漫画を引用しながら、実に分かりやすく伝えて下さいました。
講演後の質疑応答でも、とても丁寧にご回答をいただきました(ご質問がとても多く、一部のみのご紹介となってしまい、申し訳なく思っております)。
どの内容も心に残るものでしたが、次の2つのことは、支援者のひとりとして心に留めておきたいなぁと思いました。
*カサンドラは「関係性の病」。だから、加害者も被害者もいない。
*カサンドラからの回復に必要な力の源になるのは、「他者からの共感」。
本講座が、今まさにカサンドラで苦しむ方々の「力の源」や「希望」につながれば、また、その支援をしていただける方がお一人でも増えれば、と強く願っております。
最後になりますが、野波ツナ先生、株式会社コスミック出版のご担当者さま、ご参加いただいたみまさまに、心よりお礼を申し上げます。
東京メンタルヘルス・スクエアでは、カウンセラーの自己研鑽にふさわしいテーマで、また、一般の方々への情報提供の機会となるような講座を企画・開催して参ります。
講座を通して、みなさまと「つながり」が生まれることや、「こころがホッとする時間」を共有できることを楽しみにしております。
人財開発局ボランティアスタッフ 成合智美
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生徒の悩みをキャッチ ~いじめや不登校を察知~
生徒の悩みをキャッチ ~いじめや不登校を察知~
昨年からスクールコンケアを試験導入して下さっている越谷市立平方中学校(導入時のお話しはこちらを参照ください)のいじめ・不登校対策への取組を、埼玉県東部地区の有力地方紙『東武よみうり新聞』の一面に取りあげていただきました。
同校は昨年(2017年)6月から1年生3クラスで試験導入していましたが、この春から全校生徒に対象を拡大し取組んでくださっています。
スクールコンケアは私たちNPO法人東京メンタルヘルス・スクエア、関連会社の東京メンタルヘルス株式会社、そして開発企業の株式会社コンケアの3社が共同で進めている『いじめ・自殺・不登校を学校からなくそう』とする取り組みです。
生徒たちは「毎朝の自習時間」と授業後の「帰りの会」の1日2回ずつ、その時の「気持ち」をタブレット上の「虹」から「雷」までの6種類の中から選びタッチ。
クラウドシステムの中に蓄積された個々の生徒の気持ちをコンケアが分析して、悩みを抱えて声掛けをしたほうが良い生徒についてのアドバイスが教員や養護教諭に届けます。
連絡を受け取った先生方は、ご自身の日ごろの観察とコンケアからの連絡の両情報を参考に、生徒への適切なタイミングに声をかけ対話をすることで生徒たちの心、気持ちに適した対応を進めています。
全国に先駆けて最初に導入を決めてくださった大西校長先生は「教師のプロの目と、ICTの客観データの活用で生徒のこころの動きが把握できる」と評価し、最先端で最もコンケアに深く携わってくださっている2年の学年主任の倉持先生は「『天気』の変化が激しい時は、先生にかまって欲しいというサイン。友人関係や家庭環境などの変化に教師が気付くチャンス」とお話ししてくださっています。(東武よみうり新聞より)
また今年からはスクールコンケアの分析情報を元に東京メンタルヘルスのカウンセラーが同行に訪問。各学年の先生が気をかけている生徒の日常の様子とコンケアの結果を合わせて、対策について協議しています。
平方中学校で採用されたことがきっかけで、現在関東を中心に5校でスクールコンケアによる「いじめ・不登校」対策が進んでおり、そのほか数多くの問合せをいただいています。
私達東京メンタルヘルス・スクエアではすべての学校から「いじめ・自殺・不登校をゼロにしたい」と想い、スクールコンケアを中心にした活動を継続しています。
多くの学校と一緒に取組み、笑顔であふれる学校づくりの力になりたいと願っています。
「いじめ・自殺・不登校プロジェクト」「スクールコンケア」に興味を持ってくださった方は下記あてにご連絡ください。
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東京メンタルヘルス・スクエア
企画・広報局 みずぬま
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子どもを自殺から守りたい ~SNSカウンセリング~
【子どもの自殺率】
我が国の子どもの自殺率、その重い現実は、ご存知の方も少なからずいるところでしょう。
「15ー34歳の若い世代で、死因第1位が自殺であるのは、先進国(G7)の中で日本のみ」(厚労省)
この重い現実を打開するために、私たち東京メンタルヘルス・スクエアにできることはなにか?
【自殺を防ぐためには】
自殺を防ぐために一番大切なことはなにか?
防ぐためには、なにはともあれ、子どもたちのSOSの声をキャッチしなくては、まずはじまりません。
けれども、ここで、「SOSの声をあげることは、想像以上に難しい」ことを、私たちは忘れないようにしなければなりません。
「テストで100点をとったよ!」
「運動会で2位に入ったよ」
「◯◯さんと友だちになったよ」
といったことなら、多くの方が、胸を張って言いやすいことでしょう。
しかし、
「なぜかわからないけど、男の子にいじめられてるの」
「学校に、行きたくない」
「ときどき、ボクなんて死んでしまった方がいいと思う」
といったことは、そう思った子どもが10人いたとして、その切実なる声を口にして、伝えられる子はいったい何人いるのでしょうか?
おそらく、思ったことをそのままストレートに、すぐに誰かに言える子は、かなり少ないことでしょう。
【3つの解決策】
であれば、どうしたらいいか?
ここで、考えられる解決策は3つあります。
①子どもたちがSOSの声を出せるように教育していくこと
②周りの人々が、子どもたちの声になっていないSOSサインを見つけることができるようにすること
③子どもたちがSOSの声をあげやすい相談方法を作ること
①は、文科省が「SOSの出し方教育」ということで、いま普及を始めています。
②は、これまでの自殺予防対策の柱である、ゲートキーパー研修などで広めてきています。
そして、これまで、意外にも十分ではなかったのが、③のSOSの声をあげやすい相談方法でした。
現在、スクールカウンセラーは多くの小中学校にいます。ただし、週に1ー2回しか学校にいないし、相談室に行くのはとても勇気が必要です。また、夏休みは学校もなければ、スクールカウンセラーにも相談できません。
「24時間子供SOSダイヤル」(0120ー0ー78310)はあります。ただし、いま子どもたちは電話をほとんど使いません。
では、いったい子どもたちにとって、もっとも弱音や本音を言いやすい相談方法はなんでしょうか?
【SNS相談(チャット相談)をスタート】
それは、最近、普及が始まったばかりですが、SNS相談でしょう。
SNS相談にはいくつかの方法があります。なかでも一番利便性が高いのは、LINEを使った相談です。
いま、スマホを持っている中高生は多く、スマホを持っている子どもたちはほぼLINEを使っているためです。
LINE相談の相談しやすさはというと、子どもたちが一番慣れているコミュニケーション手段ということに加え、声を出さずに相談できるという利点があります。
極端にいうと、家の中で家族とテレビを見ながらでも、スマホ片手に相談できてしまうのです。電話だと、声を出さなくてはなりませんので、そうはいきません、場所を選びます。
いつでも、どこからでも、スマホひとつあれば相談できるのです。
このため、私たち東メンタルヘルス・スクエアでは、この3月からLINEでの相談をスタートしました。
案の定、子どもたち、若年層の利用がほかの年代と比べて有意に高くあります。
東京メンタルヘルス・スクエアでは、LINEでの相談を継続していきます。さらに、カウンセラーのスキルも、これまで以上に磨き続けていきます。
そして、子どもたちが「死にたい」の声を心おきなく言える場として、私たちスクエアカウンセラーは、末長く活動を続けていきたいと考えています。
【安心して語り合える場所】
「先生、死にたいと思ったことある?」
<あるよ、あんまりないけど>
「あるの?」
<人に裏切られたとき、人間関係で辛い思いをしたとき>
「そうなんだ。なんでみんな『死にたい』って思わないんだろうね?」
<あるだろ、『死にたい』って思うことくらい、一度や二度や三度や>
こんなことが、安心して言える場があるといいですね。
言いたくても言えないこと、言ってもわかってもらえないこと、そんなことがあって、その思いを心の中に閉じ込めておくことは、とても辛いものです。
私たち、東京メンタルヘルス・スクエアは、そんな思いを自由に言える場を作ることを、大切なミッションとしています。
2018年、子どもたちが、いま一番言いやすい方法は? と考え、SNS相談(LINEによる相談)をスタートしました。
子どもたちの『死にたい』の声を聞き、『死にたい』思いを受け止め、『死にたい』を行動化しないようにしていくこと、そんな場であり続けたいと願っています。
NPO法人 東京メンタルヘルス・スクエア 常務理事
SNSカウンセリング リーダー
新行内 勝善
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『KIZU -傷-』 ~Sharp objects~
『KIZU -傷-』
スターチャンネルにて10/15(⽉)より毎週⽉曜よる11:00他、独占日本初放送スタート
©2018 Home Box Office, Inc. All rights reserved. HBO® and related channels and service marks are the property of Home Box Office, Inc.
この7月にアメリカHBOで放送が始まったドラマ、Sharp objects。
南部特有の閉鎖的な文化と過干渉の母親の元で育った影響で幼少期から心に深い傷を負い、アルコールに救いを求め世間から距離をおいた生活を送る新聞記者カミル・プリーカー(エイミー・アダムス)の物語。
カミルは精神科の病院から退院し職場復帰してすぐ、故郷の小さな町で起きた残忍な連続少女殺人事件の取材を任されます。渋々田舎に帰り、事件を追っていくうちに自らの忌まわしい過去や母との確執のトラウマがよみがえり、葛藤しながら事件の真相を追っていくー。
このシリアスなドラマの最後には、世界中のトラウマを始め、悩みに苦しんでいる方たちのために、Resorces(相談の場所)が紹介されており、その日本の相談場所として、私たち東京メンタルヘルス・スクエアの「こころのほっとライン」と「お話しパートナー」が掲載されました。
https://www.hbo.com/sharp-objects/resources
アメリカで放送が始まった直後の7月中旬、電話でSharp objectsのエンドロールで紹介したいという連絡をいただきました。
世界中で放映予定の人気ドラマに掲載されることを光栄に思う気持ちと、世界中で放送されるトラウマを中心とするドラマの相談先が自分たちでよいのだろうか?という考えで内部でも意見が分かれました。
でも最後には「ドラマを見た悩みを抱える人の気持ちが少しでも楽になるきっかけとなるのであれば、自分たちでできることは精一杯やりたい」という気持ちでまとまり、掲載していただくことにしました。
8月20日現在、アメリカでは全8回のうち5回が終了し、映画やドラマを評価するIMDbで8.3point(注1)と非常に高い評価を維持しています。
そして遂にこのドラマ、Sharp objectsの日本放送が決定したそうです。
邦題は『KIZU -傷-』
10月15日(月)23:00からスターチャンネルでの放送です。
インナーチャイルド、トラウマと接することが多いカウンセラーには必見のドラマです。
このようなご紹介から、少しでも心に苦しさをお持ちの方が私たちの無料相談、低価格相談を利用し、こころのつかえが軽くなってくださることを願っています。
(注1)IMDb The Ineternet Movie Database
世界中の映画やドラマ等のデータベースで10点満点で作品を評価。
歴史に残る名作は8.5ポイント以上(羊たちの沈黙が8.6ポイント、千と千尋の神隠しが8.5ポイント)と言われており、8.3ポイントはとても高い評価です。
※最終話終了時点で8.3ポイント。非常に高い評価を最後まで継続しました。
東京メンタルヘルス・スクエア 企画・広報局 みずぬま
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死の体験旅行
人は死に行くとき、何を見て、何を思うのでしょうか。
死に行く道のりを疑似体験するワークショップが「死の体験旅行」です。
元々は終末期医療に携わる医師・看護師などのスタッフ向けに実施される、患者さんの立場や気持ちを理解するためのワークショップです。
今回、一般の人向けに実施されたワークショップに参加してきましたので、ご紹介します。
「死の体験旅行」では、旅行前の準備として、20枚の小さな紙にひとつづつ、自分にとって「大切なもの」の名前を書き込みます。
そして旅行が始まると、司会者が物語を静かに語ります。
「あなたは、体調が優れない日々が続いたある日、意を決して病院に行くことにしました‥‥」
物語を聞いているだけなのに、自分のことのように感じられて、思わず引き込まれます。
「‥‥会社を休んで、入院することになりました。手元にある紙を一枚選んで、ぐしゃぐしゃに丸めて床に捨ててください」
紙に書いただけとはいえ「大切なもの」を丸めて床に捨てる行為には胸が痛みます。
物語はゆっくりと、確実に、避けられない運命に向かって進みます。
その間、様々な感情が湧き上がります。
怒り、期待、悲しみ、申し訳なさ、感謝、諦め‥‥。
それらの感情を味わいながら、紙に書いた「大切なもの」をひとつ、またひとつ、捨ててていきます。
「大切なもの」の中にも、簡単に捨てられるもの、なかなか捨てられないものがあることに気づきます。
そうして迎えた最期の瞬間。
死ぬ瞬間の気持ちは、想像していたものとは少しだけ違いました。
一番最後まで手元に残った「大切なもの」も意外なもので、自分の選択に驚きました。
「死に行く道のりを疑似体験する」ことは、死への道のりを理解するだけではなく「何を大切にして生きるか」に思いを馳せる時間にもなりました。
もしあなたが、死の体験旅行に出かけたら。
何を見て、何を思うのでしょうか?